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立元 貴

内科医・医学博士

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認知症の患者さんと会話する

2011-09-15更新
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今日、別の患者さんの回診中に、遠くから、「おーい、おーい」と声をかけられた。

認知症がかなり進んだ患者さんで、意味のある話ができる人ではない。

妄想があり、上を向いて、そこにいない誰かに話しかけている。

白衣の私が目に入ったようで、主治医と思って話しかけている。

まったく、何を話しているかはわからないのだが、

ときどき、「・・・だよね?」とか「・・・だろう?」という言葉が聞き取れたので、たぶん、何かを尋ねているのだろう。

「そうそう、そうですよ」

「そうね、だいじょうぶよ」

と、返答をすると、何となく彼のなかでつじつまがあったのか、

深くうなずいて、静かになった。

認知症の患者さんは、他人からは理解できなくても、自分なりの世界のなかで考え、話をしている。

ときには、周りから見えない人と話をしたり、周りには見えないものが見えていたりする。

それは、患者さんにとっては、リアルな世界のことだから、

周りの人が本当のことを言い聞かせても、そっちがウソということになってしまう。

決してバカにするのではなく、認知症の方が住んでいる世界を想像して、それにあわせてみるのは、いい方法だと思っている。

そのときは、かなり突拍子もなく、自由な想像力を働かせて、知らない世界をのぞいてみる感覚を楽しもう。


カテゴリー: エッセイ, 医知場先生日記 タグ: ,

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