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立元 貴

内科医・医学博士

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倒産する介護施設

2015-11-27更新
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高齢者は自宅で介護しましょうというのが、国の方針だろうが、

いろいろな病気を抱え、食事やトイレ、入浴などが難しくなってくると、家族の介護にも限界がでてくる。

そこで、介護のプロである介護事業所にという選択が増えてくるのだが、

この介護事業所が過去最悪のペースで倒産している。

 

東京商工リサーチの調査によると、2015年1−9月の老人福祉・介護事業の倒産件数は57件で、

すでに前年の年間件数を上回り、記録更新が確実な状況だ。

 

これは、2015年4月に、介護報酬が引き下げられた影響が大きいと考えられている。

今年の倒産は、中小規模の事業所が多いのが特徴で、

収益が減るなか、資金調達が困難になったことが原因だろう。

4月からの報酬の減額の影響は、これからさらに深刻になるだろうから、

倒産件数に歯止めがかからない可能性もある。

 

アベノミクスのおかげで、雇用環境が改善しているため、

賃金のわりに労働条件の厳しい介護事業は、人手不足に悩んでいる。

中小の事業所では、人手の確保に加えて、資金面でも余力が少なく、

介護報酬の改定の影響をもろに受けた形だ。

 

国としては、介護施設を増やしていく必要性を強調するのだが、

一方で、背に腹は代えられず、介護への財政支出を引き締めている。

高齢者は、介護保険の負担も増えているため、

介護サービスを手控える傾向にあり、ますます、介護事業所の経営は厳しくなるだろう。

 

メディアで報道されるような悪質な事業所も存在するだろうから、サービスの質を担保するのは大前提だ。

しかし、中小の事業所が経営を維持できる報酬額にしなければ、

介護サービスの供給が、とくに地方で厳しくなるのではないかと危惧される。


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