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立元 貴

内科医・医学博士

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よくわかる診療報酬2016−薬の料金

2016-06-15更新
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病院や診療所でもらう薬の値段は、国によって決められています。

この値段を薬価(やっか)といい、日本全国共通の価格です。

この薬価は、いわば薬の売り値で、この値段でみなさんは薬を買っていることになります。

薬の売り値である薬価と、仕入れ値の差額によって生まれる利益を薬価差益(やっかさえき)といいます。

薬で儲けようと思えば、薬価差益の多い薬を選べばいいわけです。

薬によって薬価差益にかたよりがあれば、差益の多い薬ばかりが使われる危険性があります。

こうした薬価差益の問題を改善するために、一度決められた薬価を定期的に見直して値段をつけかえることを、

薬価改定(やっかかいてい)といいます。

厚生労働省は薬の仕入れ値を調査して、その価格に一定幅の利益を上乗せして薬価を決めます。

 

国は、医療費を削減する手段のひとつとして、薬価の安い後発医薬品の導入を積極的に進めています。

たとえば、後発品を一定割合以上採用する病院に割増料金を与えるなどして、

後発医薬品の使用を強力に指導しています。

 

風邪を引いて医者にかかったら、長い時間待たされたあげく処方せんをもたされ、

今度は近くの薬局で順番を待ってようやく風邪薬を手に入れた、、、よく聞く話です。

以前は薬を診療所でもらっていたけど、最近そとの薬局でもらうようになったという方も増えていると思います。

このように、診療所や病院のなかに薬局を置かずに、そとの薬局で薬をもらうことを、

院外処方(いんがいしょほう)といいます。

院外処方に対して、病院や診療所のなかにある薬局から薬をもらうことを、

院内処方(いんないしょほう)といいます。

昔は、みんな院内処方だったわけですね。

 

この数年で院外処方をおこなう医療機関が急速に増え、現在、大半の医療機関が院外処方をおこなっています。

これは、厚生労働省が薬を処方する医療機関と、薬を売る薬局の経営を別々に分ける、

医薬分業(いやくぶんぎょう)をすすめているからです。

では、医薬分業にはどんなメリットがあるのでしょう。

 

薬の料金は、医者が患者さんの病気に応じて薬を選ぶ処方料と、

薬を調合する薬剤師の技術料、薬の値段の合計になります。

院内処方では、この料金がすべて診療所や病院の収入になります。

一方、院外処方では診療所や病院がうけとるのは処方料だけで、残りの料金は院外の薬局の収入になります。

院内処方では、薬をたくさん処方したり、儲けの大きい薬を処方したりして、薬の分まで儲けることができます。

しかし、院外処方では、医療機関の収入は一定の処方料だけで、この料金は薬の内容に関係ありませんので、

いくら高い薬をたくさん処方しても医療機関の収入は増えません。

医薬分業のメリットは、医療機関が薬で儲けようと考えなくなることです。

とはいえ、院外処方が始まった頃と違い、現在は薬価差益がほとんどないので、

院内で在庫を抱え込むと赤字になってしまい、利益のために院内処方をしている医療機関はない、

といっていいでしょう。

むしろ、院外処方の利点は、いろいろな医療機関からもらう薬を、

薬局でまとめて管理することで、飲み合わせなどによる副作用を防ぎ、

薬をきちんと正しく飲んでいるかの服薬管理ができることです。

 

・病院のなかで薬をもらう=院内処方

・病院のそとで薬をもらう=院外処方

・院内処方:医療機関の利益=処方料+薬の利益

・院外処方:医療機関の利益=処方料だけ

 

1.院内処方

院内処方の料金は、(1) 処方料、(2) 薬剤師の技術料、(3) 薬の値段の合計です。

(1) 処方料は、医者が患者さんを診察して、薬の名前、量、飲み方などを指示する(=処方する)料金です。

内科でも、整形外科でも、どの科から処方されても、処方料は同一料金です。処方の内容にも関係ありません。

ただし、たくさんの薬を処方しないように、一度に7種類以上の薬を処方すると処方料が減額されるきまりです。

(2) 薬剤師の技術料は、基本料金の調剤基本料と、処方せんどおりに薬を袋につめる料金の調剤料が主な料金です。

特別な薬を調合したときは、料金が加算されます。

(3) 薬の値段は、全国どこでも、同じ薬であれば同じ料金です。

この値段は、国によって決められた統一価格で、薬価(やっか)とよばれます。

 

・ 院内処方の料金=処方料+薬剤師の技術料+薬の値段(薬価)

 

2.院外処方

処方せんを受け付ける薬局を調剤薬局といいます。

調剤薬局の料金表を調剤報酬といい、この料金も国が決めています。

調剤報酬も点数で表され、1点=10円で計算されます。

院外処方の料金は、(1)処方せん料、(2)調剤報酬、(3)薬の値段(薬価)の合計です。

実際に薬局に支払う料金は、この合計に保険の負担率を掛けた金額になります。

院外処方では、医者は薬の内容を書いた処方せんをつくり、あとは患者さんが自分の好きな薬局に処方せんを持ち込んで薬をもらうことになります。

処方せんを受け付けて、薬を売る調剤薬局では、調剤報酬という料金表に従って料金を請求します。

調剤薬局の業務料です。薬価は院内処方も、院外処方も同じ値段です。

 

・処方せんをうけとる調剤薬局の料金表=調剤報酬

・調剤報酬:1点=10円

・院外処方の料金=処方せん料 (1)+調剤報酬 (2)+薬価 (3)

 

院内処方 院外処方
処方料 内服薬6種類まで 42点 処方せん料 内服薬6種類まで 68点
7種類以上 29点 7種類以上 40点
調剤料 内服薬(1処方につき) 9点 調剤料 内服薬 注1
外用薬(1処方につき) 6点 外用薬 10点
調剤基本料 月1回 8点 調剤基本料 受付1回 41点(注2)

 

院内処方と院外処方の料金を比べてながら、みてみましょう。

表には、対応する料金をのせています。

院外処方は、処方せんの発行料、調剤の基本料、技術料、いずれも院内処方より高く設定されています。

参考までに、診療所、200床未満の病院で特定疾患(外来の料金に詳述)の患者に処方したときは、加算料金があります。

処方料または処方せん料に加算

特定疾患処方管理加算

(診療所・200床未満)

18点(月2回) 65点(28日以上処方、月1回)

注1.内服薬調剤料

14日分以下の場合

7日目以下の部分(1日分につき)5点

8日目以上の部分(1日につき)4点

15日分以上21日分以下の場合 70点

22日分以上30日分以下の場合 80点

31日分以上の場合 87点

一包化加算

56日分以下の場合 7日ごとに32点

57日分以上の場合 290点

 

薬を開発するには長い時間とたくさんのお金がかかります。

そうしたコストをかけて開発されたオリジナルの薬がブランド品(先発品)です。

それに対して、オリジナルのまねをして作った、オリジナルとまったく同じ成分の薬をジェネリック(generic)、

もしくは俗な言い方でゾロ品といいます。

先発品に対して、後発品ともよばれています。

 

基本的に、ブランドとジェネリックはまったく同じ薬ですが、多額の研究費をかけて作られたブランド品に比べて、あとからまねをして作ったジェネリックの薬価はかなり安くなっています。

もちろん、ジェネリックも国が認可した医薬品ですから、先発品と同じ効果があることが証明されています。

安い後発品を積極的に使って医療費を抑えようとする動きが高まっています。

後発品への変更は、処方した医師の確認をとることなく、調剤薬局と患者が相談して、自由にでき、

かつ、薬の含量規格や剤形も変更することができます。

このとき、調剤薬局は処方した医師にあらためて処方の変更を確認することはありません。

つまり、医師の確認をとらずに、薬局と患者の相談で、10mg1錠を5mg2錠にかえたり、錠剤をカプセルや顆粒にかえていいことになります。

処方した医師が知らないうちに、薬が後発品に、しかも、規格や剤形まで変わってしまうのは心配です。

後発品に変更した場合は、調剤薬局は加算料金をもらいます。

後発薬に変更すればするほど、料金の割り増しが増えるしくみです。

 

また、入院中の患者にも後発品を処方することをすすめ、後発品の採用が多い医療機関は入院時に料金が加算されます。

結局は、後発薬の導入を進めるために、割増料金を設定し、医療機関を誘導しているのですが、その負担は患者が払っているのです。

 

一般名処方加算:2点(処方せん交付1回につき)
後発品がある医薬品について、一般名処方を行ったとき

一般名処方では、有効成分が同じであれば、薬局はどの会社の後発医薬品でも調剤してよいことになります。

ほかにも、調剤薬局の薬剤師が、薬の説明や手帳への記載を行ったときは、料金がかかります。

サービスで薬の説明をしたり、手帳をくれるわけではないので、きちんと理解できるまで薬剤師に聞いてください。

薬剤服用歴管理指導料:41点(処方せんの受付1回につき)
お薬手帳をつくって薬の管理をしたり、残薬の有無、後発医薬品への変更について情報提供などを行う

服薬情報等提供料:15点(月1回に限り)
薬局が、患者の服薬状況を医療機関に文書で報告したとき

病棟薬剤業務実施加算:100点(週1回)
薬剤師が病棟の業務を実施

 

病院や診療所から、たくさんの種類の薬をもらうことを「ポリファーマシー」といいます。

ポリ(poly)=多量の、多数の

ファーマシー(pharmacy)=薬、薬屋

ファーマシーには薬屋の意味もありますから、まさに、薬を売れるくらい処方されている状態です。

 

記憶力の衰えた高齢の方が、複雑に飲み方の違う薬を、毎日、間違いなく飲むのは至難の業です。

たとえば、糖尿病の薬は、1日1回の薬を、間違えて、食事のたびに飲んでしまうと、

3倍の量を飲むことになり、低血糖を起こしかねません。

決まった量を、決まった時間に服用することは、薬の作用にも、副作用にも重要なことなのです。

患者さんによっては、2カ所、3カ所と別の診療所で、

同じような症状を訴え、同じような薬をいくつも処方されていることがあります。

 

今回の改定では、ポリファーマシーへの取組として、

多すぎる処方薬を調整して減らした場合の料金が設定されました。

入院患者を対象とした、薬剤総合評価調整加算

外来患者を対象とした、薬剤総合評価調整管理料

です。

いずれも、6種類以上の薬を処方されているときに、

薬局が医療機関と相談して2種類以上減らしたことを評価した料金です。

 

薬剤総合評価調整加算:250点

入院前に6種類以上処方されていた内服薬が、退院時に2種類以上減らした場合

薬剤総合評価調整管理料:250点

外来で6種類以上処方されていた内服薬を2種類以上減らした場合

ほかの医療機関や薬局に問い合わせて処方を調整したときは、50点加算(連携管理加算)


コメント3件

  • 医知場 | 2017.10.16 8:26

    長月さん、コメントありがとうございます。
    確かに、ジェネリック薬はプラスマイナス20%までの内容量の変化が認めれていますし、
    製剤行程もブランド薬と同じではありませんので、ブランドのコピーではありません。
    ただ、経済的に薬価に敏感な方も多く、
    ブランドとジェネリックの選択は、患者さん次第です。
    患者さんがブランド薬を処方して欲しいと言えば、それを変えることはされません。

    私には調剤薬局さんの友人がいますが、不良在庫は商売として抱えることができないので、
    同じジェネリック薬どおしを変更できないと、在庫整理ができません。
    調剤薬局は、医療機関の在庫リスクを肩代わりさせているという側面もあります。

    医療機関と薬局は、もっと風通しをよくして、患者さんに利益を還元する方策を考えてほしいものです。

  • ルミコ | 2017.10.16 11:05

    医知場先生、コメントありがとうございます。うーん、確かにおっしゃる通りなのですが、一つの先発品に対して二つ以上の後発品を在庫に持っておられる理由が、単純にわかりません。一つの先発品に対して一つの後発品を常備されていれば、そのような不良在庫の問題はなくなると思うのですが、いかがなものなんでしょうか?

  • 医知場 | 2017.10.16 16:42

    ルミコさん、コメントありがとうございます。
    そこは、やはり商売なんでしょう。
    調剤薬局も山ほどありますから、これからは質で選別されてくると期待しています。

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