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立元 貴

内科医・医学博士

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肝がん

2017-07-31更新
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肝臓の癌には、肝臓からできる癌(原発性肝癌)と、他の臓器から肝臓に転移してできる癌(転移性肝癌)があります。

原発性肝癌には、肝細胞からできる肝細胞癌と、胆管細胞からできる胆管細胞癌があり、このうち95%以上が肝細胞癌です。

そこで、肝がんといえば、肝細胞癌として解説しています。

 

肝がんの死亡数は、男性に多く第4位で、全体でも第5位をしめています。

 

肝細胞癌の大半はB型およびC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変が原因ですが、脂肪肝や飲酒による肝がんが増えています。

肝炎ウイルスに感染している場合は、まず、その治療を行うことが必要です。

抗ウイルス薬の進歩により、肝炎ウイルスによる肝炎は治る病気になりました。

脂肪肝やアルコールによる肝障害は軽視されがちですが、

肝硬変に至ることもあり、生活習慣の改善を中心にした治療が必要です。

 

症状

ほとんど無症状のうちに進行します。

がんが大きくなれば、みぞうちにしこりを触れたり、食欲不振、全身倦怠感、黄疸などの症状を認めることがあります。

 

診断

画像診断

1. 腹部超音波検査(エコー検査)

簡単で痛くもなく、がんの大きさや種類を診断するために最も有効な検査です。

がんができている位置や患者さんの状態(肥満、おなかのガスが多いなど)によっては診断が難しいことがあります。

2.CT検査

造影剤を点滴しながら、肝臓の断面を撮影します。

造影剤によるがんの染まり方は、がんの広がりや種類を診断するのに役立ちます。

3. 血管造影

肝臓の血管に細いチューブをいれ造影剤を注入して、がんの染まり方を撮影します。

がんの広がりや種類を診断するのに役立ちます。

4.MRI検査

信号の強さや造影剤の染まり方で、がんの種類を判定する参考になります。

5.針生検

超音波検査で肝臓の内部を見ながら、細い針を腫瘍に刺して組織を検査します。

肝細胞癌の腫瘍マーカー

腫瘍マーカーとは、がん細胞またはがんに対する体の反応によって作られ、血液や尿、組織などで増加している物質のことです。

肝細胞癌にはAFP、PIVKA-IIなどの優れた腫瘍マーカーがありますが、胆管細胞癌には良い腫瘍マーカーがありません。

 

1. AFP(α-fetoprotein, アルファ-フェトプロテイン)

AFPは肝細胞癌の代表的な腫瘍マーカーです。

AFPは肝細胞が再生するときにも産生されるので、肝細胞癌のない慢性肝炎や肝硬変でも上昇することがあります。

AFPが持続的に上昇する場合は、将来癌ができる危険が高いと考えられています。

AFPの上昇がある場合は、AFPの一部であるL3(AFP-L3)が参考になります。

2.AFP-L3

AFPの一部であるAFP-L3は肝細胞癌に対する特異性が高く、癌の悪性度が高い、癌の個数が多い、癌が大きいなどの場合にAFP-L3が高値になります。

3.PIVKA-II

肝細胞癌に特異性の高い腫瘍マーカーですが、AFPとの関連がないため、AFPでの見落としをカバーするために使われることがあります。

癌がない場合でも、黄疸や薬剤(ワーファリンや抗生物質など)でビタミンKが欠乏したときに上昇することがあります。

 

病期(ステージ)

肝癌の数、大きさ、血管への浸潤、転移の有無によって進行段階(病期)が決まります。

Ⅰ期:癌が単発、かつ、血管への浸潤なし。リンパ節への転移なし。

Ⅱ期:血管への浸潤がある。または、多発しているが最大径が5cm以下。リンパ節への転移なし。

Ⅲ期:多発で最大径が5cm以上、または、隣接臓器へ浸潤がある。または、リンパ節への転移がある。

Ⅳ期:肝臓以外の臓器への転移がある。

 

Child-Pugh 分類

肝予備能(肝臓の残存能力)を評価する方法に、Child-Pugh分類があります。

点数が高いほど、肝臓の能力が低下しているので、肝臓に負担のかかる治療が難しくなります。

A、B、Cの3段階に分類され、Cは最も悪い段階です。

項目 1点 2点 3点
脳症 ない 軽度 ときどき昏睡
腹水 ない 少量 中等量
血清ビリルビン値(mg/dl) 2.0未満 2.0-3.0 3.0超
血清アルブミン値(g/dl) 3.5超 2.8-3.5 2.8未満
プロトロンビン活性値(%) 70超 40-70 40未満

5-6点:A,7-9点:B、10-15点:C

 

治療

1.肝切除

外科的に癌を切り取る方法です。癌の大きさや数、場所などから切除可能かどうかを判定します。

肝臓の予備力が十分に保たれていることも条件になります。

2.局所療法

超音波検査で肝臓の内部を見ながら、細い針で腫瘍内にエタノールを注入する方法(PEI)、針先からラジオ波やマイクロウェーブを発生させて腫瘍を焼く方法(RFA)などがあります。

3cm以下の小さな癌が対象になります。

3.肝動脈塞栓術(TAE)

癌を栄養している血管(肝動脈)に細いチューブをさしこんで、抗癌剤を注入した後、その血管をゼラチンスポンジなどでふさいでしまいます。

4.化学療法(分子標的薬)

手術や局所治療のできない進行例には、抗がん剤(分子標的薬:ソラフェニブ、レゴラフェニブ)の内服を行うことがあります。

5.肝移植

肝移植の適応:Milan基準

・腫瘍は単発で5cm以下もしくは3cm, 3個以下

・血管浸潤を伴わない

・遠隔転移を伴わない

 

参考

国立がん研究センター がん情報サービス http://ganjoho.jp/public/index.html

肝癌診療ガイドライン 2013年版. 2017年版. 日本肝臓学会

がん診療レジデントマニュアル第7版 国立がん研究センター内科レジデント編. 医学書院

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