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立元 貴

内科医・医学博士

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肺がん

2017-06-15更新
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死亡率の高い肺がん

がんによる死亡数は、男性では「肺がん」が最も多く、次いで「胃がん」、「大腸がん」の順となっています。

一方、女性では「大腸がん」が最も多く、次いで「肺がん」、「胃がん」の順となっています。

(国立がん研究センター 2014年がん統計)

 

また、がんと診断された人の数では、男性では「胃」、「大腸」についで3番目に多く、

女性では「乳房」、「大腸」、「胃」についで4番目に多くなっています。(2012年がん統計)

つまり、がんにかかった人のなかで、肺がんは死亡する危険の高いがんになります。

喫煙が最大の危険因子

1.喫煙者は非喫煙者に比べて、男性で4~5倍、女性で2~3倍も肺がんになりやすい。

2.喫煙指数(Brinkman指数)=1日の喫煙本数×喫煙年数。

たとえば、1日20本×30年間、タバコをすい続けると、喫煙指数は600。

喫煙指数が600を越えると、非喫煙者に比べて20倍、肺がんになりやすい。

3.喫煙が原因と考えられる肺がんの割合は、男性で70%、女性で15~25%。

ただし、禁煙をすると10年で肺がんリスクは1/2~1/3となり、禁煙後20年で非喫煙者と同程度になる。

つまり、禁煙を20年続ければ、もとに戻るのです。

組織分類

肺がんは、小細胞がんと非小細胞がんに大きく分かれます。

非小細胞がんには、扁平上皮がん、腺がん、大細胞がん、などが含まれます。

1.非小細胞肺がん(全体の80%) 小細胞肺がん(全体の20%)

2.扁平上皮がんと小細胞がんは肺の入口(肺門)に多く、腺がんと大細胞がんは肺の辺縁(末梢)にできることが多いのが特徴です。

3.扁平上皮がんは、高齢者、男性、喫煙者に多い。

4.腺がんは、若年者から高齢者まで男女ともにみられ、非喫煙者にも多い。

5.小細胞がんは、高齢者、男性、喫煙者に多く。肺がんのなかで最も進行が速い。

などの特徴があります。

自覚症状

咳、血痰、胸痛、呼吸困難、嗄声(声のかすれ)

早期には症状がないことが、ほとんどです。

検査

1.胸部単純X線:一般的なレントゲン検査です。見えにくい、見落としやすい部分がありますのでCT検査との組み合わせが必要です。

2.胸部CT検査:肺の断面をみるレントゲン検査の一種です。肺がんの発見には、現時点で最も有効な検査です。

3.喀痰細胞診:痰の中のがん細胞を顕微鏡で検査します。咳や血痰がでる方には、必要な検査です。

4.腫瘍マーカー:がん細胞からつくられるタンパク質が血液中に放出されたもので、がんの診断、再発の発見、治療の効果判定に使われます。がん以外でも上昇するとき(偽陽性)、がんでも上昇しないとき(偽陰性)があり、この数値だけでがんを判定できるものではありません。組織型によって上昇する腫瘍マーカーに違いがあります。

・腺がん:CEA, SLX

・扁平上皮がん:SCC, CYFRA

・小細胞肺がん:NSE, Pro-GRP

5.気管支内視鏡:気管支に細い内視鏡を挿入し、がんの表面を観察したり、組織の検査を行います。

6.PET:放射性元素FDGが、がんに蓄積することを利用した新しい画像診断法です。リンパ節や遠隔臓器への転移、腫瘍の良・悪性の鑑別に威力を発揮します。また、治療の効果判定にも有用です。CT検査と併用することで診断の精度が上がります。

治療

肺がんは、非小細胞がんと小細胞がんで治療法が大きく違います。

 

非小細胞肺がん(Non-small-cell lung cancer)

臨床病期(がんの進行段階)によって治療法が分かれます。

Ⅰ期:がんが肺のなかにとどまっているもの。

Ⅱ期:がんは肺の中にとどまっているが、肺門(肺の入口部分)のリンパ節に転移がある

III期:がんが肺の周囲の臓器へ浸潤したり、縦隔(左右の肺に囲まれた胸の中央のすきま部分)のリンパ節への転移がある

Ⅳ期:遠隔臓器(肺から離れた臓器、たとえば脳、骨、肝臓、副腎など)に転移している

肺がんの病期は、さらにAとBの2つに細分されます。

 

IA がんの大きさは3cm以下で、リンパ節や他の臓器への転移はなし。
IB がんの大きさは5cm以下で、リンパ節や他の臓器への転移はなし。
IIA がんの大きさは5cm以下で、原発巣と同じ側の気管支周囲または肺門、肺内リンパ節に転移あり。
IIB がんの大きさは7cm以下で、原発巣と同じ側の気管支周囲または肺門、肺内リンパ節に転移あり。または、大きさが7cm以上か周囲の臓器へ広がっているが、リンパ節への転移はなし。
IIIA 原発巣と同じ側の縦隔リンパ節または気管分岐部のリンパ節に転移あり。または、大きさ7cm以上か周囲の臓器へ広がっているが、リンパ節への転移は原発巣と同じ側にとどまる。
IIIB 原発巣と反対側の縦隔、肺門リンパ節などに転移、もしくは鎖骨上のリンパ節に転移あり。または、縦隔・心臓・大血管・気管・食道などへ広がっている。
IV 肺以外の臓器(肝臓、脳、骨、副腎など)に転移あり。または、両方の肺に腫瘍がある、癌性胸水がある。

(注)理解しやすくするため、省略している部分があります。

治療法の選択

Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期の軽いものまでが手術の適応です。

II期からは、手術後の化学療法が効果的です。

Ⅲ期で手術ができない場合、放射線治療と化学療法の併用を行います。

Ⅳ期で全身状態が良い患者さんには、化学療法を行います。

 

手術 化学療法 放射線治療 緩和医療
IA
IB
II
IIIA
IIIB
IV  ◯

治療内容

1.手術

肺は、右肺が3つ、左肺が2つの肺葉という区画に分かれています。

がんのできている肺葉と、周囲のリンパ節をあわせて切除する方法が一般的です。

肺の構造 >>

2.化学療法

化学療法の適応=

75歳未満で、*PS(パフォーマンス・ステータス)が0または1の全身状態の良い患者が対象です。75歳以上の方でも、全身状態が良い場合は、量や組み合わせを工夫すれば抗がん剤の投与が可能です。

*PS:Perfomance status
0:無症状
1:軽度の症状、歩行や軽い作業に支障なし
2:日中の50%以上は動ける
3:日中の50%以上は横になっている
4:終日、横になっている

非小細胞肺がんの化学療法は、組織の病理所見、遺伝子変異の有無*、全身状態によって、選択します。

癌細胞の増殖や転移に働く分子の機能を抑える分子標的治療薬は、

組織の癌遺伝子変異を検査して、効果が期待される症例を選んで、投与します。

非扁平上皮癌では、EGFR、ALK、ROS1などの遺伝子変異によって、治療薬が選択されます。

また、PD-L1陽性細胞が多い場合は、免疫チェックポイント阻害薬が選択肢になります。

 

 

小細胞肺がん(Small-cell lung cancer)

小細胞がんの臨床病期は、通常のTNM分類のほかに、LD-ED分類が行われます。

・LD(限局型, limited disease):がんが片側の肺に限局する

・ED(進展型, extensive disease):LDの範囲をこえて進展する

LDでリンパ節転移のない場合は、手術後に化学療法を行います。

それ以外のLDは、化学療法に放射線治療を併用を行います。

LDで治療により、がんが完全に消失した場合は、脳への転移を予防するための放射線治療(PCI: prophylactic cranial irradiation)を追加します。

 

EDは、化学療法のみを行います。

限局型(LD) 手術+化学療法
化学療法+放射線
進展型(ED)  化学療法

1.手術方法
非小細胞肺がんに準じます。

2.化学療法
シスプラチンにイリノテカン、またはエトポシドを併用します。

 

高齢者の肺癌

高齢化が進み、高齢者の肺癌が増加しています。

高齢者は他にも病気を持ち、全身の機能が低下している場合も多いため、

一律の治療選択が難しく、個人にあわせた治療法の選択が必要となります。

 

<参考>

EBMの手法による肺癌診療ガイドライン 2016年版 日本肺癌学会HP(2017.6.5閲覧)

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