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立元 貴

内科医・医学博士

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COPD(慢性閉塞性肺疾患)

2017-07-10更新
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COPDは、肺が慢性的な炎症をおこして空気の流れが悪くなり、

十分な酸素の取り込みが難しくなる病気です。

咳や痰、息切れが主な症状で、40歳以上のタバコを吸う人に多い病気です。

放置するとゆっくりと肺の機能が低下し、日常生活に支障をきたすようになります。

 

まず、次の質問に答えてください。

1.毎日のように、何度も咳がでますか?

2.毎日のように、痰が出ますか?

3.同年齢の人に比べて、息切れしやすいですか?

4.40歳以上ですか?

5.タバコを吸っているか、以前吸っていましたか?

「はい」が3つ以上あればCOPDの可能性があります。

かかりつけの医師に相談して、呼吸機能検査を受けましょう。

 

>> もっとくわしく

 COPD質問票

No. 質問 選択肢
1 あなたの年齢はいくつですか? 40-49歳 0
50-59歳 4
60-69歳 8
70歳以上 10
2 1日に何本くらい、タバコを吸いますか?

(もし、今は禁煙しているならば、以前は何本くらい吸っていましたか?)

今までで、合計で何年間くらい、タバコは吸っていましたか?

・1日の喫煙箱数=1日のタバコ数/20本
・pack・year=1日の喫煙箱数×喫煙年数

0-14 pack・year 0
15-24 pack・year 2
25-49 pack・year 3
50 pack・year以上 7
3 あなたの体重は何キログラムですか?

あなたの身長は何センチメートルですか?

・BMI=体重(kg)/身長(m)2

BMI<25.4 5
BMI 25.4-29.7 1
BMI>29.7 0
4 天候により、咳がひどくなることがありますか? はい、天候によりひどくなることがあります 3
いいえ、天候は関係ありません 0
せきは出ません 0
5 風邪をひいていないのに、痰がからむことがありますか? はい 3
いいえ 0
6 朝起きてすぐに痰がからむことがありますか? はい 0
いいえ 3
7 喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)がよくありますか? いいえ、ありません 0
時々、もしくはよくあります 4
8 今現在(もしくは今まで)アレルギーの症状はありますか? はい 0
いいえ 3

参考:IPAG(International Primary Care Airways Group)診断・治療ハンドブック日本語版

 

合計点が17点以上で、COPDの可能性があります。

呼吸機能検査を受けましょう。

 

2001年に実施されたNICEスタディによれば、

COPDは喫煙者に多く、

高齢者ほど増え、

40歳以上の8.5%、約530万人の患者がいると推測されていますが、

治療を受けているのはそのうちの5%未満です。

厚生労働省の統計でも、COPDによる死亡者は年々増加し、1万6000人を超えています。

 

COPD 患者の 90% 以上が喫煙者です。

全喫煙者の 15-20% が COPD を発症し、タバコの本数が多いほど、発症率が高くなります。

COPD患者は、高脂血症、高血圧、不安・うつ状態、心筋梗塞、骨粗鬆症、糖尿病などを合併することが多く、

また、肺炎などの感染症をよく起こします。

肺癌の合併も多く、リスクは約4倍高いといわれます。

 

症状

・咳や痰が多く、長期間続く

・坂道や階段を上ると息切れがする

・息を吐くときに、口をすぼめて呼吸をする

COPDの最も特徴的な症状は、呼吸困難(息切れ)です。

呼吸困難の程度を知るための簡単な方法に、MRC質問票があります。

 

呼吸困難(息切れ)を評価するMRC質問票-mMRC

グレード分類 あてはまるものにチェックしてください(1つだけ)
0 激しい運動をした時だけ息切れがある。
1 平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩く時に息切れがある。
2 息切れがあるので、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いている時、息切れのために立ち止まることがある。
3 平坦な道を約100m、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まる。
4 息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをする時にも息切れがある。

 

 

原因

別名タバコ病ともいわれるように、80-90%は喫煙が原因です。

それ以外にも大気汚染、他人のタバコの煙を吸い込んでしまう受動喫煙、遺伝的要因などがあります。

診断

呼吸機能検査(スパイロメトリー)

COPDをみつける、最も簡単で効果的な検査は、呼吸機能検査(スパイロメトリー)です。

スパイロメトロリーは、息を深く吸い込んではき出すだけの簡単な検査で、痛みもありません。

COPDになると、肺の空気を十分にはき出せなくなります。

 

スパイロメトロリー検査では、次のことがわかります。

・1秒量(FEV1):思い切り空気を吸い込んだ後、最初の1秒間で吐き出せる空気の量

・努力性肺活量(FVC):思い切り息を吸い込んだ後、最後まで吐き出せる空気の総量

・1秒率(FEC1%):1秒量を努力性肺活量で割った値、どれくらい速く息を吐き出して肺を空っぽにできるかを表す

・対標準1秒量(%FEV1)=1秒量実測値/1秒量予測値×100%

 

長期の喫煙歴があり、

慢性の咳・痰、体動時の呼吸困難などの症状があり、

肺機能検査で1秒率が70%をきると、

COPDと診断されます。

 

さらに、肺機能の重症度は、年齢、性別、身長から割り出した予測値に対する比率(%FEV1)、

呼吸困難や運動能力の低下などによる症状とあわせて判定されます。

 

肺機能検査によるCOPDの重症度

Ⅰ期 軽度 %FEV1≧80%
Ⅱ期 中等度 50%≦ <80%
Ⅲ期 高度 30%≦ <50%
Ⅳ期 きわめて高度 <30%

 

<肺年齢>

スパイロメトリー検査の結果から、肺年齢を計算することができます。

肺年齢は、肺の健康を示すバロメータで、以下のサイトが参考になります。

実年齢より肺年齢が高齢ならば、肺の機能が衰えているサインです。

肺年齢.net http://www.hainenrei.net/index.html 

 

胸部CT検査

胸部X腺写真は進行した場合には診断ができますが、早期発見にはCT検査が役に立ちます。

 

治療

まず、禁煙が第一です。

年齢とともに肺の機能は低下していきますが、喫煙者の肺機能は速やかに低下していきます。

ですから、できるだけ若いうちに禁煙に取り組むことが大事です。

医療機関の禁煙外来では、薬とカウンセリングによる禁煙指導を行いますので、受診をおすすめします。

 

薬物療法

病気の進行度に応じて、

気管支を広げる薬(気管支拡張薬)や

炎症を抑える薬(ステロイド薬)をおもに吸入薬で投与します。

長時間作用性抗コリン薬、または、

長時間作用型β2刺激薬、が長期管理の基本になる薬です。

長時間作用性抗コリン薬は、

前立腺肥大症や緑内障の方は、副作用がでることがあるので注意が必要です。

 

効果が不十分なときは、

長時間作用型β2刺激薬と長時間作用性抗コリン薬の併用や、

徐放性テオフィリンを追加します。

増悪を繰り返す重症例には、吸入ステロイドを使います。

 

COPDが進行すると、肺から十分な酸素を取り込むことができなくなり、

家庭で酸素を持続的に吸入する在宅酸素療法が必要になることがあります。

 

ワクチンの接種をおすすめします

COPDの患者さんは、感染症が重症化しやすく、ときに死亡原因にもなります。

インフルエンザワクチンは、COPDの増悪による死亡率を50%低下させ、

すべてのCOPD患者に接種することが勧められています。

肺炎球菌ワクチンは、65歳以上のすべてのCOPD患者、65歳未満の重症のCOPD患者に接種が勧められています。

 

参考

COPD診療のエッセンス 2014年版. 日本COPD対策推進会議編 2014.

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版 日本呼吸器学会 2013

GOLD. Global Strategy for the Diagnosis, Management, and Prevention of Chronic Obstructive Lung Disease (2017 Report)


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