薬は減らすほうが難しい

薬

薬でお腹いっぱいになるんじゃないかと思うほど、たくさんの薬を飲んでいる患者さんがいます。もちろん、必要な薬なのでしょうが、本当に全部必要なのでしょうか。

ふらつく、といっては、めまいの薬。
きつい、といっては、漢方薬。
胃の調子が悪い、といっては胃薬。
足がむくむ、といっては尿をだす薬。

患者さんが症状を訴えるたびに、薬が増えていきます。

もちろん、そのときには必要な薬なのでしょうが、一度、薬をだすと、なかなか止められません。薬はどんどん増えていくことになります。

医者としては、薬をだすのは簡単ですが、減らすのは勇気がいります。さしあたり、その薬でうまくいっているわけですから、あえて、手間をかけて薬を減らして、せっかくのバランスを崩したくはないからです。

しかし、無駄な薬は使いたくないし、飲ませたくもありません。できるだけ、最小限の薬で、しかも、必要な薬は十分に使うというのが、名医の処方だと思います。

2 件のコメント

  • 先日トヨタ自動車のアメリカ人役員の方が、OXYCODONEを違法に日本に持ち込んだとして逮捕されました。丁度同じ頃、TIMEマガジン、6月15日号にパワフル・ペインキラーの特集があり、ざっと読んでみました。長期に渡る摂取が依存症の元になるケースが多く、医者としても処方の判断が非常に難しい、とありました。ある方は、2年(!)も服用して医者からストップされ、闇市場で購入するようになったそうです。知人が足を骨折して、OPIOIDSの薬を許可されたが、服用を自ら断った、痛みは自分で我慢すると。この人は教養もあり、立派な方ですから、知っていたのでしょう。逮捕された役員の方はどういった症状で服用していたのかと思います。よほどの痛みがあったのでしょうか? 日本ではアメリカほどではないでしょうが、医知場先生もこういった強い薬を患者さんに処方される場合は判断に慎重を期されることでしょう。記事によると、科学的な根拠に基づく判断はできない、とあり、それが現実なのかと思いました。

    • HIROさん、コメントありがとうございます。

      オキシコドンは、麻薬性の鎮痛薬で、日本では、主にがんの疼痛管理に使われています。
      一般には処方しない薬ですし、日本では麻薬として厳密に管理されています。
      飲んだ後の袋まで回収して、きちんと服用したことを確認する薬です。
      ですから、日本では、オピオイドといわれる麻薬性鎮痛薬を、安易に処方することは、まず、ありません。
      しかし、整形外科などで、どうしてもとれない慢性的な痛みに使用する例が、日本でも増えているのが、心配なところです。
      痛みというのは、なかなか、客観的な判断基準がなく、本人が申告する症状なので、判断が難しいところです。
      痛みを緩和する薬は、依存的になり、どんどん量が増えてしまいます。

      トヨタの役員が持ち込んだということは、アメリカでは、あたりまえのように、オキシコドンが売買されているということでしょうが、
      こうした薬を過剰に内服すると、呼吸抑制など、命に関わる副作用がでることがあります。自己判断で飲む薬ではありません。
      薬の処方権に対しては、凛とした医師の度量が必要です。
      そこは、制度としても、文化としても、大事にして欲しいところです。

      薬物乱用は、個人の自由とは違う次元の話ですから、
      くれぐれも、自己判断でネットなどで手に入れるのは危険だということを、理解してください。

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