医療費を増やさずに医者を増やす矛盾

医学部の定員を、500人超増やすことが決まった。
2007年の定員は、7600人。これを、今後10年かけて段階的に増員する計画だ。
国は、1982年に将来の医師過剰を大々的に宣伝して、医師数を抑制する方針をきめ、97年には「引き続き医学部定員の削減に取り組む」と閣議決定した。2006年に、産科、小児科、救急医療の医師不足が社会問題化して、一部の大学医学部で定員増を行ったが、削減の方針は続いていた。
今回、地方などで深刻化する医師不足対策として、医学部の定員を増やすことになったが、医療費は年に2200億ずつ減額されることが決まっている。
医師数の抑制は、すなわち、医療費削減のためであった。
医者が増えれば、医療費が増える。だから、医者を減らしたかったはずだ。
医者を増やし続ければ、都市部で余った医師が、僻地に回るだろうという発想だろうか。
一方、全国で7割が赤字に陥っている公立病院に対して、国は交付金を減らすなどして圧力をかけ、整理していく方針だ。公立病院は、たとえ不採算でも田舎では貴重な医療機関である。
医者をふやしても、病院がなければ、僻地の医療など機能するはずはない。医療費そのものの増やさずに、医者を増やすという矛盾は、さらに医療を荒廃させていく予感がする。

写真なし

2 件のコメント

  • いやいや、ちゃんと医療費も増やさせましょうぜ。
    「医療崩壊」に社会の注目が集まっている今が、長年の低医療費政策を転換させるチャンスです。
    またそうしなければ崩壊はとまりません。

  • 最近、妙に忙しくてお返事が遅くなりました。医療システムが成功した国はありません。どこの国にも問題はあります。高齢者だけが弱者だとも思いません。しかし、度を超えた医療費削減が、医療の現場を根本から壊している。医療は崩壊しているのではなく、破壊されている。しかも、当の医療人が声を上げる気力さえないほど、疲弊し、絶望している。絶望はモラルの低下を生み、さらに医療者と患者の不毛な軋轢をよぶのが、怖いです。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です