高血圧

日本の高血圧患者数は4000万人。30才以上の男性の47.5% 、女性の43.8%が高血圧です。しかし、30、40歳代では8 割から9割が治療を受けていないのが現状です。

診断

血液が心臓から体のすみずみまで流れるように、血液には常に圧力がかかっています。この圧力を血圧といいます。血圧は、血管の中を流れる血液の量と、血液の流れやすさ(抵抗)で決まります。血液の量が増えたり、血管の抵抗が増えると血圧は上がります。

高血圧の患者の約90%は原因が不明で、本態性高血圧または原発性高血圧とよばれます。原因が分かっている場合には、二次性高血圧とよばれます。高血圧の患者の5-10%は腎疾患が原因で、1-2%は内分泌疾患によるものです。

血圧値は、心臓の拍動とともに変化します。心臓が収縮したときの値を「収縮期血圧」または「最高血圧」といい、心臓が拡張したときの値を「拡張期血圧」または「最低血圧」といいます(単位はmmHgです)。収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上を「高血圧」といいます。正常血圧は収縮期血圧130mmHg未満、かつ拡張期血圧85mmHg未満です。

分類 収縮期血圧 拡張期血圧
至適血圧 <120 かつ<80
正常血圧 <130 かつ<85
正常高値血圧 130-139 または85-89
I度高血圧 140-159 または90-99
II度高血圧 160-179 または100-109
III度高血圧 ≧180 または≧110
(孤立性)収縮期高血圧 ≧140 かつ<90

自宅で自動血圧計を使って血圧を測定することは、高血圧の診断や、薬の効果判定に非常に有用です。医者が診察するときだけ血圧が高く自宅での血圧が低い、白衣高血圧を見分けるためにも自宅での血圧測定は必要です。

家庭での血圧の測り方

  1. 測定部位は上腕を用いる。
  2. 朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食前、薬を飲む前、イスに座って1-2分安静後に測定。夜:就寝前、イスに座って1-2分安静後に測定。
  3. 平均の血圧が135/85mmHg以上ならば、高血圧と考えられます。

治療

血圧が高いほど、心筋梗塞、心不全、脳卒中、腎臓病になる頻度が上がります。高血圧の治療によって、脳卒中35-40%、心筋梗塞20-25%、心不全50%以上の発症を抑えることができます。収縮期血圧と拡張期血圧とともに、140/90mmHg未満に下げることで、心血管の合併症を減らすことができます。糖尿病や腎臓病を合併した高血圧では130/80mmHgが治療目標になります。

血圧の目標値

若年者・中年者 130/85mmHg 未満
高齢者( 65 歳以上) 140/90mmHg 未満
糖尿病・慢性腎臓病・心筋梗塞後 130/80mmHg 未満
脳血管障害 140/90mmHg 未満

生活習慣の改善

生活習慣の改善は、高血圧の発病を予防する上でも、また発病した高血圧患者の管理を行う上でも最も重要なものです。生活習慣の改善は、血圧を下げ、降圧剤の効果を増強し、心血管病のリスクを減少させます。

心血管病とは?
心臓の血管がつまっておきる狭心症や心筋梗塞などの病気です。

心血管病の危険因子
高齢(65歳以上)、喫煙、高血圧、脂質異常症、肥満(とくに腹部肥満)、メタボリックシンドローム、若年(50歳未満)発症の心血管病の家族歴、糖尿病

生活習慣の適正化

  1. 食塩制限6g/日以下。
  2. 適正体重の維持。
  3. アルコール制限:男性は日本酒約1合以下、女性はその半分がめやす。
  4. コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える。
  5. 運動療法(有酸素運動)
  6. 禁煙

*標準体重=(22×[身長(m)]×[身長(m)])
たとえば、身長160cmならば、1.6×1.6×22=56。56kgが標準体重です。
適正体重はその20%増しまでで、56×1.2=67kgまでが許容範囲です。

米国のデータですが、生活習慣の改善で血圧はずいぶん下がります。たとえば、肥満の方は体重を10kg減量することで5-20mmHgの血圧低下が期待されます。

改善点 目標 降圧効果
体重の減量 正常体重の維持 5-20mmHg/10kg減量
食事療法 野菜、果物、低脂肪食 8-14mmHg
塩分制限 1日6g以下 2-8mmHg
運動 毎日30分以上歩行 4-9mmHg
アルコール摂取の制限 2-4mmHg

薬物治療

血圧を下げる薬(降圧薬)には、利尿薬、カルシウム(Ca)拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体(ARB)拮抗薬、β遮断薬、α遮断薬の6種類があります。それぞれ異なった機序で血圧を低下させます。

降圧薬の作用メカニズムと副作用

作用機序 副作用
利尿薬 尿量を増やして、体液の量を減らす 電解質異常、尿酸・脂質・糖代謝異常
Ca拮抗薬 血管の壁を弛緩させ、血管を拡張する 顔面紅潮、動悸、むくみ
ACE阻害薬 アンジオテンシンIIの産生を抑制する
ARB拮抗薬 AII受容体をブロックして、アンジオテンシンIIの効果を抑制する 咳の副作用なし
β遮断薬 心臓から送り出される血液の量を減らす 気管支喘息、脂質代謝異常
α遮断薬 血管を拡張する 起立性低血圧

降圧薬はこの6種類の中から、高血圧の程度、合併症、副作用などを考慮して最も適当なものを投与します。

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