がん性腹膜炎に対する腹水濾過濃縮再静注法

がん性腹膜炎とは

がん細胞がおなかの中(腹腔)にまき散るように広がると、おなかに水がたまることがあります。このような水を腹水といい、がん細胞の広がりによって腹水がたまる状態をがん性腹膜炎といいます。がん細胞によって腹水の産生が増加すること、がん細胞がリンパ管をふさいで腹水の吸収を阻害することが原因です。

がん性腹膜炎は、がんの症状のなかでも治療が困難なもののひとつです。がん性腹膜炎の原因で最も多いのは、卵巣がんです。次いで、膵臓、胃、子宮などのがんがあげられます。

診断

超音波検査で腹水の有無がわかります。
腹水の細胞検査(腹水細胞診)でがん細胞が証明されれば、確定診断となります。
がん性腹膜炎でも、腹水からがん細胞が証明されない場合があります。

症状

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 おなかの張り(腹部膨満感)、食欲不振、息苦しさなど

治療法

  1. 化学療法
    とくに卵巣がんによる腹水では、抗がん剤投与が有効なことがあります。
  2. 利尿剤
    腹水の水分を尿として排出させることが目的です。
  3. 腹水穿刺
    腹水によって腹部膨満感や呼吸困難などの自覚症状が強い場合、症状改善の目的で腹水を抜く方法です。根本的な治療ではなく、数日で再貯留することが多い。また、腹水は高濃度のタンパク質や電解質が含まれているため、排液することで全身状態を悪化させることがある。

医知場のトピックスでは、腹水濾過再静注法を紹介します。
この方法は、患者の腹水をとりだし、それを濾過および濃縮して、静脈から再注入する方法です。腹水中のがん細胞や細菌はフィルターによって除去され、タンパク質は失われることなく体内に戻されます。血液製剤を使うことで避けられない、肝炎ウイルスなどの感染の心配もありません。
腹水濾過再静注法は、肝硬変などの肝疾患による難治性腹水の治療にも使われています。

腹水濾過再静注法について

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Q1:「腹水中のがん細胞やばい菌が注射されるのが心配だ。」
A1:濾過フィルターは0.2μmより大きいものをカットしますので、がん細胞や細菌は除去されます。

Q2:「料金はどれぐらいですか。」
A2:3割負担で28770円です。検査や、外来・入院の料金が加わることがあります。

Q3:「時間はどれぐらいかかりますか。」
A3:腹水の濾過を行う時間は1時間程度です。濾過した腹水は1時間に100~150mlの速度でゆっくり点滴します。

Q4:「副作用はないのですか。」
A4:もともと自分の体の中にあったものを濾過してきれいにしたものですから、大きな副作用は報告されていません。一過性の発熱を認めることがありますが、解熱剤などで対応可能です。

参考

臨床腫瘍学 第3版, 日本臨床腫瘍学会編, 癌と化学療法社 2003

資料提供: ユニファ(株)、旭化成メディカル(株)

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