終の棲家は、狭すぎる

介護つきマンションを見学する機会があった。富裕層向けのものはホテル並みで、豪華なロビーの横でビリヤードする入居者は、選ばれた人という気がする。食事もレストランで和洋中からお好きなものを、夜は最上階のラウンジで夜景を見ながらのバー、麻雀やカラオケも完備、孫が来たときはパーティールームでお食事を。

ところで、いわゆるシニア・マンションは買い上げるのではなく、終身居住権を買うことになる。つまり、居住者が死んだら契約は終了し、他人に売ったり、子どもが相続したりすることはできない。

生きている間だけ、住む権利を買っている。

買ってすぐに死んだら、代金の一部は戻ってくるが、大抵は5年で償却される。つまり、5年以上入居して死んだ場合は、1円も戻ってこない。結局、長生きして、長くマンションに住むほど、元をとることができるし、5年以内に死んだ場合は、かなりの損ということになる。

分譲マンションというより、賃貸に近い。長生きするほど、家賃が安くなるということだ。

介護つきマンションは、元気な人がくらす住居棟と、介護が必要な人がくらす介護棟に分かれていて、住居棟は通常のマンションとほとんど変わらない。トイレが広かったり、介護スタッフに緊急コールができたりする分、値段は高く、間取りはやや狭い。

介護棟は、食事やトイレ、入浴などの日常生活が不自由になった人の施設で、部屋にはベッドだけ、ドレッサーもなく、テレビを置くスペースがあるくらいである。豪華な設備を誇る住居棟からみると、かなりのギャップである。もちろん、身動きができなくなった人のためにスペースだからと割り切っているのだろうが、寂しい部屋である。これは、いくつかの介護つきマンションを見ても、だいたい同じで、20数㎡が相場らしい。

不動産への初期投資、たくさんの介護スタッフの人件費などのコストから割り出された居住空間なのだろうが、豪華シニア・マンションでさえ、この程度である。

高齢者の終の棲家は、窮屈で、高い。
 

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