ほめて、治す

糖尿病で、私の外来に通院している患者さんがいる。

学会で私がいないのを知らずに訪れたときに、たまたま、代診の先生に診てもらった。

 

その次の診察日、

なかなか食事制限のできない患者さんに、私は、

「体重を減らさないと、良くなりませんよ。」

と、注意した。

見るからに腹回りが大きく、毎回、体重を減らすように、

同じことばかり指導しているので、

辟易した口ぶりでもあった。

 

すると、患者さんが、

「前の先生は、頑張っているとほめてくれたのに、

なぜ、先生はいつも注意ばかりするんですか。」

と、食って掛かってきたのだ。

 

血糖値が高いのに、腹にたっぷり脂肪をつけて、

毎回、体重が少しも減らないのに、逆切れしたように怒りをぶつけてくる患者さんに、

そのときは、あきれてしまい、もう、この人には何を言っても仕方ないとあきらめた。

 

しかし、よくよく、患者さんのカルテを見てみると、

確かに、前回の診察のときは、悪いなりに、ほんの少し、

数値は良くなっていた。

それを、代医の先生は、意識していたのかどうかは知らないが、

何気なく、「良くなっている。」とほめたのだ。

その言葉が、患者さんの心には響いていたのだ。

 

患者さんのなかには、

怒られて気づくタイプと、

ほめられて頑張るタイプ

がある。

 

患者さんがどちらのタイプなのかを見きわめるのは、

医者の器量だ。

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