がん以外にも緩和ケアが必要です

みなさんは、緩和ケア病棟という言葉を聞かれたことがあると思います。

ホスピスという言葉の方が、なじみがあるかも知れません。

緩和ケア病棟は、病気の末期にある患者さんの痛みや苦しさを和らげるための処置が主になる場所で、

病気のそのものを治療する場所ではありません。

心と体の痛みを和らげ、静かな最期の時間を過ごすためのケアをすることが目的になります。

緩和ケア病棟への入院は、保険診療になり、入院料金が高額になるときには補助を受ける仕組みもあります。

 

ただ問題なのは、緩和ケア病棟は悪性腫瘍(がん)の患者さんが対象であり、

それ以外の病気は対象にはならないことです。

 

がん以外にも、治らない病気はたくさんあります。

日本では、患者さんの高齢化がすすみ、がんと同じ数の患者さんが認知症で亡くなる時代になりました。

認知症の方は、食物を飲みこむ、嚥下機能が低下することで、肺に食物や唾液を誤嚥してしまい、

重症の肺炎を起こします。

これを、誤嚥性肺炎といい、高齢者の死亡原因になることが多い病気ですが、

その背景には認知症の進行があります。

 

認知症以外にも、心臓の機能が低下した心不全、肺がこわれて酸素を取り込めなくなった肺気腫などで、

寝たきりになった患者さんも、病気としては末期の状態です。

 

寝たきりの患者さんは、眠っているように見えますが、苦痛がないわけではありません。

ベッドの上で自力で体を動かすことさえできないのですから、当然、苦痛を感じているはずです。

訴えがないのは、痛みを表現できないだけです。

 

こうした慢性疾患の末期では、もはや、臓器の機能を回復する治療はなくなってきますので、

苦痛を緩和する治療が必要になるはずです。

しかし、日本では、がんにばかり緩和ケアの光があたり、

がん以外の「治らない病気」に対する緩和ケアの治療が十分に行われていません。

これは、医療者側の意識だけでなく、

患者さん自身、そして患者家族の意識を改めていく必要があると感じています。

苦痛を緩和し、看取りまでの総合的な治療戦略を考えていくことが、

高齢者がよりよく生きていく医療を提供することだと思っています。

写真なし

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です