抗がん剤の懐具合

この10年近くの抗がん剤の進歩には目覚ましいものがある。

効果の割に副作用ばかりがめだち、悪役の代表のように言われたものだ。

発がんのメカニズムが遺伝子のレベルでわかるようになり、創薬の技術が進歩したおかげで、ある種のがんには画期的に効く薬が現れている。

一部の白血病のように、かつて死の病が治癒するようになったものもある。

 

製薬会社は競い合って抗がん剤をつくっている。

患者さんの数が多く、市場規模が大きいので、儲かるからだ。

薬を開発するということは、ギャンブルのようなものだ。

何千、何万という薬の候補の中で、実際に市場にでてくるのはごくわずかだ。

その金鉱を掘り当てるために、莫大な開発資金を投入しているわけで、

その旨味がなくなれば、薬の開発が停滞することになる。

医療の進歩は、薬の進歩に支えられているわけで、製薬会社が収益のために薬を開発しているおかげであるともいえる。

一方で、創薬が複雑になり、開発費用がかさんだ結果、新薬の値段はつり上がっている。

話題の新薬、オプジーボの薬代は、月に200万円以上、年間3000万円以上といわれている。

 

保険診療では、患者さんの負担は3割以下、医療費が高額になり上限額を超えると補助がでる仕組みなので、

この薬代の大半は保険で支払われることになる。

国としては、使用できる医療機関や医師を制限することで、この薬剤負担を減らそうとしているが、

間口を狭くして追い返す方法で、どこまで効果があるだろうか。

 

癌の研究が進むほどに、新しくて、高価な薬はこれからもどんどん生まれてくる。

その費用対効果を考えなくてはならない時期にきているのだが、

わらをつかむ思いの患者さんの懐具合をみながら治療することになるのだろうか。

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1 個のコメント

  • 先日、いわゆるがんに効く特効薬、分子標的薬の価格が高く
    医療費が膨らみ健保の危機が訪れるのではないか、という記事を見ました。
    患者にとってみれば、効くかもしれないなら使いたい、
    藁をもつかむ気持ちです。
    私も、先生の文面にある一部の白血病(APL)でしたが
    分子標的薬ATRAのおかげで、5年たとうとした今も完全寛解です。
    薬の開発費用と価格、使える患者さん、とても悩ましい話です。

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