よくわかる診療報酬2018-診療報酬という料金表

医療保険をつかって診察や治療をおこなうことを保険診療といいます。保険診療のもとでは、診察や検査の料金、薬の値段まで、とにかくすべての値段が国によって決められています。

この値段を診療報酬(しんりょうほうしゅう)といいます。いわば、国が決めた病気の料金表です。

診療報酬は、厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会で2年ごとに改定され、平成30年(2018年)4月から新しい診療報酬に変わりました。

診療報酬が改定は医療機関の収入に直結しますから、国は特定の分野の料金を上げたり下げたりして、医療機関の経営方針を誘導する意図があります。医療機関としても、決められた料金表にあわせて、採算が合うように変わらざるを得ないからです。

ここで、病院の機能について説明したいと思います。

病院は、その病院がもつ機能によって、次のように分類することができます。ひとつの病院のなかに、いくつかの機能をもっている場合もあります。

・救急や手術などを行い、短期で退院させる急性期

・急性期を引き継いで治療を行う、亜急性期

・退院に向けてリハビリを行う、回復期

・長期の入院が必要な患者さんのための、慢性期

診療報酬では、料金をいくつかにランク分けし、設備やスタッフ数などに条件をつけることで、医療機関を機能分けしています。

国が診療報酬を決めているということは、日本中の病院の舵取りしているわけです。医療費の増加を抑えるためには、機能ごとに必要な病院の数を決めて、そこに患者を集中させれば、より効率的という考えです。

しかしながら、利益が上がらなければ、設備や人に投資ができないので、医療機関は決められたルールのなかで利益を確保しようとします。

国の規制の下で経営している以上、診療報酬改定のたびに、国と医療機関とのせめぎ合いが起きるのは当然です。

高齢化がすすめば、税収は下がり、医療費が増えるのは避けられません。しかし、日本の財政はますます先が見えず、最大の支出である医療と福祉を切り捨てようとする圧力がかかっています。

国は医療費の増加を抑えるために、二つの方法で病院のベッド数(病床数)の削減を始めています。

ひとつは、診療報酬を改定し、中小の急性期病院が対応できない条件をつけることで、急性期の病床数を減らす方法です。

もうひとつは、自治体に病床の稼働率などを報告させ、地域で必要な病床数の計画にあわせて病床を減らしたり、別の機能の病院に転換するように誘導する方法です。

病院はふるいにかけられ、診療報酬の改定に対応できない病院の経営はますます難しくなるでしょう。

 

それでは、診療報酬のしくみと、なかみについて、説明していきたいと思います。

診療報酬の計算は、医療従事者でも簡単には理解できないほど複雑につくられています。この特集では、複雑な診療報酬をできるだけわかりやすく説明していきたいと思っていますが、一部に簡略化したところもあり、実際の値段そのものよりは、いくらかずれる場合もあることを、ご理解ください。

まず、診療報酬を計算するための基本からお話しましょう。

診療報酬は点数であらわされています。診察の料金が○×点という感じです。1点は10円と決められていますから、点数を10倍したものが料金になります。たとえば、診療報酬の100点は100×10=1000円が料金ということです。

保険の種類によって、料金のうちの何割を自費で払うか(負担率)がきまっていますので、実際に支払う料金は、これに負担率をかけた金額になります。たとえば、負担率が3割のサラリーマンの場合は、1000×0.3=300円が窓口での支払額になります。

料金は、病気の状態に関わらず必要な基本料金と、病気の状態によって変化するオプション料金の合計と考えてください。この基本料金に状況に応じた追加料金が加えられて、診療報酬の基本料金部分が計算されます。

基本料金の追加分を加算(かさん)といいます。たとえば、夜中や休日に診察を受けると、診察の基本料金に追加料金が文字通り加算されます。加算については、またあとで説明します。

医療機関はベッドの数、医者や看護師の数などによってグループ分けされています。このグループによって一部の基本料金に差がつけられています。

入院用のベッド数が20床以上あるところ(ベッドは1床、2床・・・と数えます)を病院とよんでいます。19床以下の施設を診療所とよびます。○○医院、もしくは○○クリニックという看板がでているところは、診療報酬上の呼び方は診療所ということになります。病院は200床以上大病院と、200床未満中小病院に分けられ、診療所、大病院、中小病院で基本料金の違いがでてきます。病院は、入院している患者さんの病気の程度によっても分けられていますが、これは入院の料金を説明するときにお話しします。

診療報酬の基本的な考え方をおさらいしておきましょう。

・診療報酬=病気の料金表
・診療報酬の1点=10円

・支払い=料金の合計×保険の負担率
・料金=基本料金+オプション
・加算=基本料金の追加料金

・診療所=入院施設がないか、19人までしか入院できない(19床以下)
・病院=20人以上が入院できる(20床以上)
・大病院は200床以上、199床までは中小病院

 

お金の流れから、日本の医療保険をみてみましょう。

保険料を集めて保険を運営する団体を保険者といいます。国民健康保険では市町村が、会社員の保険(組合健保)では企業の健康保険組合が保険者になります。保険者に対して、保険を受ける人を被保険者といいます。被保険者は所得に応じて保険料をおさめ、その証明として被保険者証(いわゆる保険証)を受けとります。

患者が医療機関を受診したときは、料金の一部を負担金としてその場で支払います。医療機関では、患者の診断名や検査、治療の内容、料金をまとめた明細書をつくります。この診療報酬明細書レセプトといいます。医療機関では一ヶ月ごとにレセプトを集計して、審査支払い機関に提出します。社会保険では社会保険診療報酬支払基金、国民保険では国民健康保険団体連合会が審査支払い機関となります。審査支払い機関では、病院が請求した金額が妥当かどうかを点検して、審査のすんだ金額を保険者に請求します。保険者は医療機関から請求された金額をもう一度点検して、審査支払い機関を通じて病院へ支払います。

外来、入院、検査、手術、薬など、保険を使う医療のすべての値段が、診療報酬として、国によって決められています。国が決めた公定価格のもとで、保険を使って医療を行うことを保険診療といいます。保険で認められていない、つまり保険が使えない医療は、料金が決められていませんので、自由に料金を決めてよいことになります。これを自由診療といいます。

混合診療とは、保険の範囲内の分は保険で払い、範囲外の分は自費で払うこと、つまり保険診療と自由診療が混合されることをいいます。原則的に、混合診療は認められていません。たとえば、入院して保険で承認されていない薬を使った場合、未承認の薬を使う治療は保険診療とは認められず、自由診療として扱われます。この場合、入院にかかる料金が全額自費負担になってしまいます。

75歳以上の方は、後期高齢者医療保険の対象になります。この保険には75歳以上のすべての人が加入し、これまで国保や社保に分かれていた老人保険制度が一本化されて、独立した保険として運営されます。

保険の運営は各都道府県内の全市町村が一体となった広域連合が行いますが、保険料の徴収は市町村が行います。保険料の支払いや届け出、申請などの窓口は、今までどおり市・区役所、町村の役場になります。保険料は年金から天引きされます。保険料は広域連合ごとに決まり、所得に応じて負担する所得割額と加入者が均等に負担する頭割額の合計になります。保険料は原則として加入者全員が払います。窓口での料金の負担額は、1割負担です。ただし、一定以上の所得のある世帯の方は3割負担になります。自己負担の限度額は、今までと変わりません。

最近では、ほとんどの医療機関で、患者さんに料金の詳細な明細書を渡しています。明細書には、診療報酬の内容が細かく書かれていますが、○○料、△△加算など、わからない言葉ばかり並んでいますので、この特集を参考にして、明細書をながめてみてください。

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