よくわかる診療報酬2018−検査の料金

医学は日進月歩です。聴診器ひとつで診察をしていた時代ははるか彼方となり、今は検査データが診断や治療の大きな柱となりました。

検査漬け医療の批判もありますが、検査をしなければ正確な判断は不可能です。その値段ははたしていかほどでしょうか。

その前に、採血と注射の料金をまとめておきます。針刺し事故をおこすこともある危険な手技なのですが、めっぽう安いことに驚きます。

注射と採血の料金
・採血(静脈) 30点
・注射(皮下、筋肉内) 20点
・注射(静脈) 32点
・点滴注射 1日500ml以上 97点

この料金は技術料で、検査や点滴の料金は別になります。

検査はおおまかに、尿、便、血液など患者さんからとったサンプルを検査する検査(検体検査)と、心電図や超音波検査などの機械を使った検査(生体検査)に分けられます。

検査の料金は、検査の測定をする料金(検査料)と、その結果を判断する料金(判断料)の合計です。

一部の検査には、検査料のなかに判断料が含まれるものもありますが、とにかく、

検査の料金=検査料+判断料

と考えてください。

1.検体検査

まずは、検体検査です。検体とはサンプルという意味です。

便検査:
潜血反応は、便に血が混じっているかどうかの検査です。検査料が37点で判断料が34点ですから、料金はあわせて71点となります。

注) 潜血反応は肉などに含まれるヒト以外の血液に反応することがあります。ヒトの血液(ヘモグロビン)にだけ反応する免疫学的潜血反応を行った場合の点数です。

尿検査:
尿一般検査はいわゆる検尿のことで、尿に血液やタンパク、糖などがでているかどうかの検査です。この料金は判断料込みで26点です。尿をさらに詳しく顕微鏡でみる尿沈査顕微鏡検査は、検査料27点+判断料34点=61点です。便検査と尿検査の判断料は、あわせて月に1回のみ計算しますので、月に何回、便検査や尿検査を受けても判断料は1回分の料金しか、かかりません。このルールはほかの検査にもあてはまります。おなじグループの検査を月に何回行っても、判断料は1回分の値段です。

検査料 判断料 合計
便潜血 37 34 71
尿一般 26 0 26
尿沈査 27 34 61

 

血液学検査:
血液一般検査は、赤血球数(貧血のときに下がる)や白血球数(細菌に反応して上がる)をはかる検査で、検査料は21点です。顕微鏡で血液の中味をくわしく調べる検査が、血液像の検査で、検査料18点です。糖尿病の程度をみるHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は50点です。検査判断料125点です。

検査料 判断料 合計
血液一般 21 125 146
血液像 25 150
HbA1c 49 174

 

生化学検査 I:
みなさんがよく検査する採血検査の代表です。この検査によって、肝臓や腎臓など内臓の状態をチェックすることができます。検査項目ひとつひとつに検査料がつけられていますから、検査料は検査をした項目の点数を合計したものになります。これに判断料144点が加わります。ただし、一度にたくさんの検査項目を測定できないように、検査項目数の制限が加えられています。たとえば、一度に10項目以上の検査をしても、検査料は112点までしか請求できません。

検査料 判断料 合計
1項目につき 11- 144 検査料の合計+144
5-7項目 93 237
8・9項目 99 243
10項目以上 112 259

 

せっかくですから、それぞれの検査項目の意味を簡単に説明しておきましょう。

・TP (総タンパク), アルブミン:栄養状態を表します。

・総ビリルビン, GOT, GPT, LDH, アルカリフォスファターゼ, γ-GTP:
肝臓が悪くなると数字が上がります。とくにγ-GTPはお酒を飲みすぎると上がります。

・アミラーゼ:膵臓に炎症があると、高くなります。

・CPK:筋肉に炎症があると、高くなります。

・総コレステロール, 中性脂肪:血液中の脂分のことです。

・HDL-コレステロール:動脈硬化を抑える善玉のコレステロールです。

・LDL-コレステロール:動脈硬化を進行させる悪玉のコレステロールです。

・尿素窒素, クレアチニン:腎臓の機能を表します。

・尿酸:痛風や尿路結石のもとになります。

・Na (ナトリウム), K (カリウム), Cl (クロール):ミネラル(電解質)のバランスを表します。

生化学検査 II:
甲状腺ホルモンなど内分泌(ホルモン)検査と腫瘍マーカーが含まれます。腫瘍マーカーは、がんが大きくなると増えてくるたんぱく質で、がんの患者さんの診察や治療の効果判定に重要な検査ですが、がんになると必ず増えるというものではありません。検査項目数が増えるほど割安になるように料金が決められているのは、生化学検査Iとおなじです。料金は検査料に判断料144点を加えます。

免疫学検査:
病気の原因となる細菌やウイルスに対する体の反応をみる検査です。溶レン菌(小児に集団発生する細菌)、肝炎ウイルス、エイズ(ヒト免疫不全ウイルス;HIV)などの検査が含まれます。判断料は144点です。

微生物検査:
痰や尿中の細菌を顕微鏡で観察して、原因となる細菌をみつける検査です。細菌を培養して原因菌をはっきりさせる検査が、細菌培養同定検査です。痰の培養で160点、血液210点、尿170点です。原因菌がわかった後は、どの抗生物質が効くかを細菌感受性検査で判定して、最適の抗生物質を選びます。感受性検査は1菌種170点で、微生物検査の判断料は150点です。

病理学検査:
手術や内視鏡検査などで体の一部(腫瘍などの組織)を取ってきて、顕微鏡で悪性かどうかを判定する検査です。この検査は、腫瘍が悪性かどうか、手術がきちんと行われたかどうかを決める大変重要な検査です。組織を薄い切片にして顕微鏡で観察できる状態にするまでの検査料が860点、良性か悪性かを診断する判断料が150点です。病理診断の専門医が常勤している病院では、料金の加算があります。

 

2.生体検査

血液や尿、便などのサンプルをとる検体検査に対して、体の外から診断する検査、たとえば心電図、脳波、胃カメラなどの検査を生体検査とよんでいます。生体検査の料金も基本的には公式どおり、検査料+判断料ですが、一部の検査では検査料金のなかに判断料が含まれます。

呼吸機能検査:
肺活量を測って喘息や気管支炎などの呼吸器の病気の程度を診断する検査です。検査料90点、判断料140点です。

心電図検査:
心臓の動きや、不整脈を診断するための検査です。判断料込みで130点です。ホルター心電図(24時間心電図)が1750点。運動負荷心電図は380点です。

超音波検査:
超音波を使って体のなかの様子を見る検査です。エコー検査ともいいます。
腹部の検査が530点、心臓の検査が880点、頸動脈が350点です。血液の流れをみるためにパルスドプラ法を行った場合は、+200点です。

骨塩定量検査:骨粗しょう症の診断のために、骨密度を測定する検査です。レントゲン撮影によるDEXA法で360点、簡便な超音波測定法で80点です。

眼底検査:
眼球の底にある網膜をみる検査です。眼科の病気だけでなく、糖尿病や高血圧による眼の合併症を診断するためにも重要な検査です。片眼あたり、判断料込みで56点です。造影剤を注射して、さらにくわしく検査する蛍光眼底検査は400点になります。

睡眠時無呼吸検査:
携帯用の簡易装置を使った検査が、720点です。精密検査では入院が必要になり、入院料金こみで3960点になります。

胃・十二指腸ファイバースコピー:
ファイバースコピーは内視鏡検査とも呼ばれ、細い管を体に入れて内部を見る検査です。昔は先端に小さなカメラが着いていて、後でフィルムを現像して診断していたので、今でも胃カメラとよばれることがあります。胃に続いている十二指腸とあわせて検査しますので、正式には胃・十二指腸ファイバースコピー検査といいます。

この検査は判断料込みで1140点です。異常があると、良性か悪性かを判断するために、その一部をとって病理学検査を行う必要があります。ファイバースコピー(=内視鏡)をみながら組織をとることを内視鏡下生検法といい、310点です。この組織は、顕微鏡でくわしく検査しますので、さらに病理学検査の料金(検査料860点+判断料150点)をあわせて1320点が必要です。

大腸ファイバースコピー:
肛門から管を入れて大腸をみる検査です。大腸は肛門に近いほうから、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸、盲腸に分かれています。S状結腸だけを検査したときは900点、すべての大腸を検査すれば1550点になります。判断料はこの料金に含まれます。ポリープなどの組織検査をしたときは、手技料に病理検査の料金をあわせた1320点が追加されます。

ファイバースコピー 検査・判断料 組織検査をしたとき
胃・十二指腸 1140 +1320
大腸 1550

 

3.画像診断

レントゲンやCTなどの写真による検査を画像診断といいます。画像診断の料金は、基本的に検査の料金と同じように計算されますが、撮影したフィルムの代金が別途必要になります。レントゲンなどの写真を撮影する料金撮影料、その写真から病気の状態を診断する料金診断料といいます。画像診断の料金は、撮影料と診断料の合計になります。検査の料金と比べると、検査料に相当する部分が撮影料、判断料に相当する部分が診断料になります。

画像診断の料金=撮影料+診断料

検査の内容ごとに、くわしくみていきましょう。

単純X線写真:
体にX線をあてて、胸や頭、骨などの写真を撮ります。最近では、フィルムカメラがデジカメに変わったように、X線写真も、だんだんアナログからデジタルに変わっています。X線をあてて簡単に撮影する方法を単純撮影、造影剤を使ったくわしい撮影を造影剤使用撮影といい、料金が違います。

X線写真の料金は、診断料+撮影料です。さらに、コンピュータで画像の管理を行っている場合は、割り増し料金(電子画像管理加算)があります。

診断料 撮影料 電子画像管理加算
アナログ デジタル
単純撮影 頭部・胸部・腹部・脊椎 85 60 68 57
その他 43 58
造影剤使用撮影 72 144 154 66
乳房 306 192 202 54

 

透視検査:
バリウムという白い液体を飲んで、胃や十二指腸をみる検査です。モニターでバリウムが流れる様子をみながら、どこに異常があるかを診断します(透視診断)。この検査は写真を撮るだけでなく透視診断も重要ですから、撮影料+診断料に加えて、透視診断料110点が必要になります。

コンピューター断層撮影(Computed Tomography、略してCT):
断層写真(からだの輪切り写真)をコンピューターで合成して、からだの断面をみることで、がんや脳卒中の場所や大きさがわかる検査です。造影剤を点滴してくわしく検査をした場合は、造影剤使用加算という追加料金が必要になります。医者がフィルムみて異常かどうかを診断する料金が、診断料450点です。診断料はひと月に1回だけ計算される料金ですから、CT検査やMRI検査を月に何回行っても、診断料は1回分しか必要ありません。逆に言うと、2回目以降、医者はタダで診断していることになります。

磁気共鳴コンピューター断層撮影(Magnetic Resonance Imaging、略してMRI):
磁石の原理を応用して、からだの断面をみる検査です。からだの部分によってはCTよりもさらに詳しい診断ができます。たとえば、脳梗塞は早期にはCTでわからないこともありますが、MRIならば診断が可能です。また、神経や骨の異常など整形外科の病気にも強い味方になります。

CTやMRI検査も、検体検査のときとおなじように、ひと月に何回も検査ができないような料金の仕組みができています。CTまたはMRI検査をひと月に2回以上行った場合は、2回目からのCTまたはMRI検査の点数が減額されるのです。ちょっとわかりにくいと思いますが、たとえば、ひと月に頭のCTとMRIを検査したり、頭と肺のCT検査をした場合、減額の対象になります。脳卒中が疑われる患者さんに頭のCT検査を行い、さらにMRI検査でくわしく検査したとき、その検査がおなじ月に行われた場合は、MRI検査の料金が8割に減額されます。

CT検査では16列以上のマルチスライス、MRI検査では1.5テスラ以上の性能の良い機械の料金は高く、性能の落ちるものは安くなります。

造影剤を使って撮影したとき、冠動脈(心臓の血管)のCT検査やMRI検査では、料金の追加があります。

CT検査 MRI検査
撮影 64列以上のマルチスライス:1000点 3テスラ以上:1600点
16以上64列未満:900点 1.5以上3テスラ未満:1330点
造影剤使用加算 500点 250点
冠動脈CT加算 600点
心臓MRI加算 400点
診断料 450点(月1回)
電子画像管理加算 120点
同一月の2回目以降の検査は、所定点数の80/100


PET/CT
(ポジトロンCT):
微量な放射線をだすFDGが、がんに取り込まれることを利用したPET/CTの料金は、8625点。これに、PETの診断料370点とCTの診断料450点が加わり、9445点です。ただし、PET/CTは保険の対象になる病気に制限があります。

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