よくわかる診療報酬2018−くすりの料金

病院や診療所でもらう薬の値段は、国によって決められています。この値段を薬価(やっか)といい、日本全国共通の価格です。

この薬価は、いわば薬の売り値で、この値段でみなさんは薬を買っていることになります。

薬の売り値である薬価と、仕入れ値の差額によって生まれる利益を薬価差益(やっかさえき)といいます。

薬で儲けようと思えば、薬価差益の多い薬を選べばいいわけです。薬によって薬価差益にかたよりがあれば、差益の多い薬ばかりが使われる危険性があります。

こうした薬価差益の問題を改善するために、一度決められた薬価を定期的に見直して値段をつけかえることを、薬価改定(やっかかいてい)といいます。厚生労働省は薬の仕入れ値を調査して、その価格に一定幅の利益を上乗せして薬価を決めます。

国は、医療費を削減する手段のひとつとして、薬価の安い後発医薬品の導入を積極的に進めています。

たとえば、処方せんの様式を変更して先発品をだしにくくしたり、後発品をだす薬局に割増料金を与えるなどして、後発医薬品の使用を強力に指導しています。

風邪を引いて医者にかかったら、長い時間待たされたあげく処方せんをもたされ、今度は近くの薬局で順番を待ってようやく風邪薬を手に入れた、、、よく聞く話です。

以前は薬を診療所でもらっていたけど、最近そとの薬局でもらうようになったという方も増えていると思います。

このように、診療所や病院のなかに薬局を置かずに、そとの薬局で薬をもらうことを、院外処方(いんがいしょほう)といいます。

院外処方に対して、病院や診療所のなかにある薬局から薬をもらうことを院内処方(いんないしょほう)といいます。

昔は、みんな院内処方だったわけですね。

この数年で院外処方をおこなう医療機関が急速に増え、現在、大半の医療機関が院外処方をおこなっています。

これは、厚生労働省が薬を処方する医療機関と、薬を売る薬局の経営を別々に分ける、医薬分業(いやくぶんぎょう)をすすめているからです。では、医薬分業にはどんなメリットがあるのでしょう。

 

薬の料金は、医者が患者さんの病気に応じて薬を選ぶ処方料と、薬を調合する薬剤師の技術料、薬の値段の合計になります。

 

院内処方では、この料金がすべて診療所や病院の収入になります。

一方、院外処方では診療所や病院がうけとるのは処方料だけで、残りの料金は院外の薬局の収入になります。

院内処方では、薬をたくさん処方したり、儲けの大きい薬を処方したりして、薬の分まで儲けることができます。

しかし、院外処方では、医療機関の収入は一定の処方料だけで、この料金は薬の内容に関係ありませんので、いくら高い薬をたくさん処方しても医療機関の収入は増えません。医薬分業のメリットは、医療機関が薬で儲けようと考えなくなることです。

とはいえ、院外処方が始まった頃と違い、現在は薬価差益がほとんどないので、院内で在庫を抱え込むと赤字になってしまい、利益のために院内処方をしている医療機関はない、といっていいでしょう。

むしろ、院外処方の利点は、いろいろな医療機関からもらう薬を、薬局でまとめて管理することで、飲み合わせなどによる副作用を防ぎ、薬をきちんと正しく飲んでいるかの服薬管理ができることです。

・病院のなかで薬をもらう=院内処方

・病院のそとで薬をもらう=院外処方

・院内処方:医療機関の利益=処方料+薬の利益

・院外処方:医療機関の利益=処方料だけ

 

1.院内処方

院内処方の料金は、(1) 処方料、(2) 薬剤師の技術料、(3) 薬の値段の合計です。

(1) 処方料は、医者が患者さんを診察して、薬の名前、量、飲み方などを指示する(=処方する)料金です。内科でも、整形外科でも、どの科から処方されても、処方料は同一料金です。処方の内容にも関係ありません。ただし、たくさんの薬を処方しないように、一度に7種類以上の薬を処方すると処方料が減額されるきまりです。

(2) 薬剤師の技術料は、基本料金の調剤基本料と、処方せんどおりに薬を袋につめる料金の調剤料が主な料金です。特別な薬を調合したときは、料金が加算されます。

(3) 薬の値段は、全国どこでも、同じ薬であれば同じ料金です。この値段は、国によって決められた統一価格で、薬価(やっか)とよばれます。

・ 院内処方の料金=処方料+薬剤師の技術料+薬の値段(薬価)

 

2.院外処方

処方せんを受け付ける薬局を調剤薬局といいます。調剤薬局の料金表調剤報酬といい、この料金も国が決めています。調剤報酬も点数で表され、1点=10円で計算されます。

院外処方の料金は、(1)処方せん料、(2)調剤報酬、(3)薬の値段(薬価)の合計です。

実際に薬局に支払う料金は、この合計に保険の負担率を掛けた金額になります。

院外処方では、医者は薬の内容を書いた処方せんをつくり、あとは患者さんが自分の好きな薬局に処方せんを持ち込んで薬をもらうことになります。

処方せんを受け付けて、薬を売る調剤薬局では、調剤報酬という料金表に従って料金を請求します。調剤薬局の業務料です。薬価は院内処方も、院外処方も同じ値段です。

・処方せんをうけとる調剤薬局の料金表=調剤報酬

・調剤報酬:1点=10円

・院外処方の料金=処方せん料 (1)+調剤報酬 (2)+薬価 (3)

 

院内処方と院外処方の料金を比べながら、みてみましょう。

院内処方 院外処方
処方料 内服薬6種類まで 42点 処方せん料 内服薬6種類まで 68点
7種類以上 or 注1 29点 7種類以上 or 注1 40点
注2 18点 注2 28点
調剤料 内服薬(1処方につき) 9点 調剤料 内服薬 注3
外用薬(1処方につき) 6点 外用薬 10点
調剤基本料 月1回 8点 調剤基本料 受付1回 41点

 

表には、対応する料金をのせています。院外処方は、処方せんの発行料、調剤の基本料、技術料、いずれも院内処方より高く設定されています。

日本は、睡眠薬や精神安定剤(向精神薬)が他の国に比べて非常に多く処方されています。こうした薬は依存性があり、止められなくなったり、量がどんどん増えていくことがあります。今回の診療報酬改定では、このような向精神薬の多剤・長期投与を是正する仕組みが盛り込まれています。

3種類以上の抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬または4種類以上の抗不安薬および睡眠薬の投薬(1系統の薬を3種類以上か、あわせて4種類以上)について、処方せん料や薬剤料の引き下げが行われます。

また、ベンゾジアゼピン系抗不安薬や睡眠薬を、1年以上継続して処方したときは、処方せん料が引き下げられます。

医療機関側にペナルティを設けることで、睡眠薬や向精神薬の使用を制限しようとする試みです。

注1.ベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬を1年以上継続投与
注2.3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬、3種類以上の抗精神病薬、4種類以上の抗不安薬および睡眠薬(臨時投薬等を除く)
注3.内服薬調剤料

14日分以下(1日分につき)
7日目以下 5点
8日目以上 4点
15日分以上21日分以下 67点
22日分以上30日分以下 78点
31日分以上 86点
一包化加算
42日分以下(7日ごと) +32点
43日分以上 +220点

 

診療所、200床未満の病院で特定疾患(外来の料金に詳述)の患者に処方したときは、加算料金があります。特定疾患は、次のような内科の病気が対象になります。
(結核、がん、甲状腺機能異常、糖尿病、高脂血症、高血圧、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、脳梗塞、慢性気管支炎、喘息、胃・十二指腸潰瘍、慢性肝炎、慢性膵炎など)

特定疾患処方管理加算(診療所・200床未満)
18点(月2回) 66点(28日以上処方、月1回)

処方料または処方せん料に加算

 

薬を開発するには長い時間とたくさんのお金がかかります。そうしたコストをかけて開発されたオリジナルの薬がブランド品で、先発品といわれます。

それに対して、オリジナルのまねをして作った、オリジナルとまったく同じ成分の薬をジェネリック、もしくは俗な言い方でゾロ品といいます。先発品に対して、後発品ともよばれています。

基本的に、先発品と後発品の成分はまったく同じですが、多額の研究費をかけて作られた先発品に比べて、あとからまねをして作った後発品の薬価はかなり安くなっています。

もちろん、後発品も国が認可した医薬品ですから、先発品と同じ効果があることが証明されています。医療費を抑えるために、安い後発品を積極的に使う動きが高まっています。

後発品への変更は、処方した医師の確認をとることなく、調剤薬局と患者が相談して、自由にでき、かつ、薬の含量規格や剤形も変更することができます。このとき、調剤薬局は処方した医師にあらためて処方の変更を確認することはありません。

つまり、医師の確認をとらずに、薬局と患者の相談で、10mg1錠を5mg2錠というように規格をかえられたり、錠剤をカプセルや顆粒という別の剤形にかえていいことになります。処方した医師が知らないうちに、薬が後発品に、しかも、規格や剤形まで変わってしまうのは心配です。

後発品に変更した場合は、調剤薬局は加算料金をもらいます。後発薬に変更すればするほど、料金の割り増しが増えるしくみです。

後発医薬品使用体制加算(処方せん受付1回につき)
調剤薬のうち後発品の割合が75%以上 +18点
、80%以上 +22点、85%以上 +26点

また、入院中の患者にも後発品を処方することをすすめ、後発品の採用が多い医療機関は入院時に料金が加算されます。

結局は、後発薬の導入を進めるために、割増料金を設定し、医療機関を誘導しているのですが、その負担は患者が払っているのです。

国は、薬を商品名ではなく、薬の主成分の名前である一般名で処方することをすすめて、後発品の普及を図っています。たとえば、胃薬の「ガスター」は商品名ですが、一般名は「ファモチジン」で、「ファモチジン」という名前で処方すると、薬局は、どの会社の「ファモチジン」を使ってもよくなるので、在庫管理がしやすくなり、後発品への変更が容易になるからです。

医療機関側にもわずかながら加算料金をつけることで、一般名での処方を促しています。

一般名処方加算 +6点(すべての処方が一般名処方、処方せん交付1回につき)
後発品がある医薬品について、一般名処方を行ったとき

薬剤師が患者さんに、薬の内容や、副作用、飲み方の説明などを行いますが、これにも料金がつきます。サービスで薬の説明をしたり、おくすり手帳をくれるわけではないので、きちんと理解できるまで薬剤師に聞きましょう。

薬剤服用歴管理指導料:41点(処方せんの受付1回につき)
お薬手帳をつくって薬の管理をしたり、残薬の有無、後発医薬品への変更について情報提供などを行う

服薬情報等提供料:30点(月1回に限り)
薬局が、患者の服薬状況を医療機関に文書で報告したとき

 

病院や診療所から、たくさんの種類の薬をもらうことを、ポリファーマシー、といいます。

ポリ(poly)=多量の、多数の
ファーマシー(pharmacy)=薬、薬屋

ファーマシーには薬屋の意味もありますから、まさに、薬を売れるくらい処方されている状態です。記憶力の衰えた高齢の方が、複雑に飲み方の違う薬を、毎日、間違いなく飲むのは至難の業です。

たとえば、糖尿病の薬は、1日1回の薬を、間違えて、食事のたびに飲んでしまうと、3倍の量を飲むことになり、低血糖を起こしかねません。決まった量を、決まった時間に服用することは、薬の作用にも、副作用にも重要なことなのです。

患者さんによっては、2カ所、3カ所と別の診療所で、同じような症状を訴え、同じような薬をいくつも処方されていることがあります。

ポリファーマシーへの取組として、多すぎる処方薬を調整して減らした場合の料金が、服用薬剤調整支援料です。

服用薬剤調整支援料:125点(月1回に限り)
薬局の薬剤師が、6種類以上の内服薬を処方している医師に対して文書で提案し、内服薬が2種類以上減ったときには、調剤薬局は、服用薬薬剤調整支援料125点を請求することができます。

 

かかりつけの薬剤師をひとり決めて、複数の医療機関からもらっている、たくさんの薬の管理をしてもらう、「かかりつけ薬剤師」という制度が始まっています。処方された薬を単に袋詰するだけでなく、薬のプロとして薬剤師を活用しようという取り組みです。

かかりつけ薬剤師に管理を頼むときの料金が、かかりつけ薬剤師指導料です。

かかりつけ薬剤師指導料:73点(処方箋受付1回につき)
夜間や休日、在宅医療に対応できる「かかりつけ薬剤師」を患者さんが指定し、その薬剤師が薬の管理や相談に応じたとき

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