よくわかる診療報酬2018−入院の料金

ホテルが客のニーズに合わせていろいろな部屋を用意するように、病院も患者さんの状態に応じて2種類の部屋を用意しています。

治療によって短い入院期間で退院できる急性の病気の患者さんを対象とした一般病棟と、慢性的な病気で長期の入院を必要とする患者さんを対象とした療養病棟です。

短い期間で集中的な治療を行う一般病棟には、医師や看護師を手厚く配置し、病気の変化に対応できるような高価な設備が必要になります。

療養病棟に入院する患者さんは病気の変化は激しくありませんので、医師や看護師の数は一般病棟より少なくても対応できますが、日常生活を介護するスタッフが必要です。

一般病棟と療養病棟のどちらを主に用意するかで、病院の得意分野が決まってきます。

外来の料金を計算するときの公式が、入院の料金にもあてはまります。つまり、

入院の料金も、基本料金+オプションと考えてください。

このうち基本料金に相当するのが入院基本料です。1日あたりの宿泊料金と考えてください。この料金は、医師の診察料や看護師の看護料を含めたサービス全体に対する料金です。

入院基本料の料金設定の物差しとなるのが看護配置と平均在院日数です。

看護配置は、看護職員一人あたりの患者さんの数です。たとえば、看護配置が10:1とは日中、夜間を平均して患者10人あたり看護職員が1人いる状態です。30人の患者が入院している病棟では、8時間ごと3交代制として9人以上の看護職員が働いていることを意味しています。看護職員は、正規の資格を持った看護師と、看護師のお手伝いをする補助職員を合わせた人数です。

もうひとつの物差しが平均在院日数で、患者さん一人あたりの入院日数の平均です。集中的な治療をして早く退院できるようにすれば、平均在院日数は短くなります。逆に、慢性的な病気を抱えた患者さんが多い病院は平均在院日数が長くなります。

一般病棟の入院基本料は、看護配置と平均在院日数に応じて料金が決められています。

もっとも料金の高い入院基本料は、看護配置7:1以上、平均在院日数18日以内という基準を満たさなければなりません。さらに、重症の患者さんが一定の割合以上入院している必要があります。

もちろん、こうした病院は専門的で集中的な治療を行うために、それなりの設備費と人件費を必要とする大病院です。

・急性期の患者=一般病棟

・慢性期の患者=療養病棟

・入院の料金=入院基本料+オプション

・看護配置=入院患者数÷看護師の数

・平均在院日数=入院患者一人あたりの平均の入院日数

・医療看護必要度=重症や手術が必要な重症患者の割合

 

一般病棟入院基本料(1日につき)

急性期一般入院基本料 1 1591点
2 1561点
3 1491点
4 1387点
5 1377点
6 1357点
7 1332点
地域一般入院基本料 1 1126点
2 1121点
3 960点

 

入院基本料には、入院期間によって、さらに追加料金が上乗せされています。

入院14日目までは1日あたり450点、15日目から30日目まで192点が基本料に追加されます。入院期間が短いほど病院にとって有利になるように料金を設定することによって、患者さんの入院ができるだけ短期間になるようにしているのです。

入院基本料への追加料金および減額料金(1日あたり)

入院14日以内 15~30日
450点追加 192点追加

 

次は入院料金のオプション部分のお話をしたいと思います。

入院基本料は、病気の状態に関わらず必要になる基本料金です。病気の治療には状態に応じて、検査やくすり、手術などが必要になりますから、この料金がそれぞれの病気によって変わってくるオプションの料金と考えることができます。このうち検査やくすりの料金は、外来の料金のところで説明したものと同じ値段です。

手術の料金は、手術の種類や方法によって、それぞれ料金が決められています。同じような手術にみえても、方法によって料金が違うこともあります。表には、一般的な手術の料金をのせています。この料金は、手術だけの料金で、材料費や麻酔の料金、入院費、検査、薬の料金などが、さらに必要になります。

代表的な手術の料金

人工関節置換(股、膝) 37690点
脳動脈瘤クリッピング(1カ所) 114070点
肺悪性腫瘍
肺葉切除 72640点
冠動脈、大動脈バイパス移植術
1吻合のもの 71570点
2吻合以上のもの 89250点
内視鏡的大腸ポリープ切除術
長径2cm未満 5000点
長径2cm以上 7000点
白内障(眼内レンズ挿入) 12100点
乳がん(乳房部分切除、腋窩リンパ節郭清なし) 28210点
冠動脈ステント留置術 24380点
ペースメーカー移植術 15060点
胃がん(開腹) 55870点
胃がん(腹腔鏡) 64120点
胃がん(内視鏡による切除、粘膜下層剥離術) 18370点
肝がん(区域切除) 60700点
肝がん(ラジオ波焼灼、2cm以内) 15000点
胆石(腹腔鏡下胆嚢摘出術) 21500点
膵がん(膵頭十二指腸切除) 77950点
虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍なし) 6210点
大腸がん(開腹) 35680点
大腸がん(腹腔鏡) 59510点
痔核(PPH) 11260点
子宮筋腫(腹腔鏡) 37620点
前立腺肥大(経尿道的前立腺手術) 18500点

 

長期の療養のために入院が必要な患者は、療養病棟に入院します。療養病棟では、病気の種類や重症度によって医療区分1から3、日常生活の制限や介護の必要性によってADL区分1から3に判定し、それによって料金が設定されています。重症患者を多く受け入れている病院では、重症患者の少ない病院よりいくぶん高い料金になります(療養病棟入院基本料)。

療養病棟入院基本料1(重症患者の多い病院)

医療区分1 医療区分2 医療区分3
ADL区分3 967点 1412点 1810点
ADL区分2 919点 1384点 1755点
ADL区分1 814点 1230点 1468点

 

ここまで説明してきたのは、検査、薬など患者さんの治療にかかった料金を合計して計算する出来高払いの料金です。

もうひとつ、DPCという定額払いの料金制度の病院もあります。DPCは、手術や救急などの患者が多い大病院を中心に導入されています。

DPCでは、病名や診療内容から患者がどのような病気かを分類し(診断群分類)分類ごとに1日あたりの入院費用が決められます。この費用には、薬、看護、室料などが含まれますが、手術やリハビリなど出来高払いの部分と組み合わせて計算することになります。

DPCでは、入院初日から数日間は高い料金が設定され、入院日数が伸びるほど料金が減額されていきます。より短期間で、より安く病気を治す、効率的な医療のための支払い制度といわれています。

DPCという料金制度では、病気ごとに入院日数が決められ、その日数を超えた料金は大幅に減額になりますので、長期入院は不可能となります。

大病院が急かすように患者を退院させるのは、こうした料金制度によるものです。

また、入院日数の短い手術や検査の一部は、短期滞在手術基本料という、定額料金にまとめられました。この料金は、DPCとは関係ない定額料金で、診療所にはこの料金は適用されません。

短期滞在手術基本料の対象になると、入院料金や検査、治療を含めた定額料金となり、従来の料金よりも引き下げられています。

短期滞在手術等基本料

終夜睡眠ポリグラフィー 9265点
小児食物アレルギー負荷検査 6090点
前立腺針生検法 11334点
関節鏡下手根管解放手術 19394点
胸腔鏡下交感神経節切除術(両側) 41072点
水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合) 22010点
乳腺腫瘍摘出術(長径5cm未満) 19967点
経皮的シャント拡張術・血栓除去術 37350点
下肢静脈瘤手術1(抜去切除術) 23655点
下肢静脈瘤手術2(硬化療法) 12082点
ヘルニア手術(そ径ヘルニア) 24540点(15歳以上)
腹腔鏡下そ径ヘルニア手術 50397点(15歳以上)
内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 14163点
内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 17699点
痔核手術(硬化療法、四段階注射法) 12079点
体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 27934点
子宮頸部(膣部)切除術 17552点
子宮鏡下子宮筋腫摘出術 34354点
ガンマナイフによる定位放射線治療 59998点

 

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