COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPDは、肺が慢性的な炎症をおこして空気の流れが悪くなり、十分な酸素の取り込みが難しくなる病気です。

咳や痰、息切れが主な症状で、40歳以上のタバコを吸う人に多い病気です。放置するとゆっくりと肺の機能が低下し、日常生活に支障をきたすようになります。

COPDは喫煙者に多く、高齢者ほど増え、40歳以上の約530万人、70歳以上では約210万人の患者がいると推測されていますが、治療を受けているのはそのうちの5%未満です。(NICE study, 2004)

日本では、COPDは死因の第10位で、高齢者の割合が高くなっています。

COPD 患者の 90% 以上が喫煙者です。全喫煙者の 15-20% が COPD を発症し、タバコの本数が多いほど、発症率が高くなります。

COPD患者は、高脂血症、高血圧、不安・うつ状態、心筋梗塞、骨粗鬆症、糖尿病などを合併することが多く、また、肺炎などの感染症をよく起こします。肺癌の合併も多く、リスクは約4倍高いといわれます。

症状

・咳や痰が多く、長期間続く

・坂道や階段を上ると息切れがする

・息を吐くときに、口をすぼめて呼吸をする

COPDの最も特徴的な症状は、呼吸困難(息切れ)です。

質問票

・MRC質問票:日常生活に対する呼吸困難(息切れ)の影響を測定する

・CAT質問票:症状やQOLを評価する

・COPD-Q:COPDの可能性をスクリーニングする。4点以上であれば、COPDの可能性あり。

呼吸困難(息切れ)を評価するMRC質問票-mMRC

グレード分類 あてはまるものにチェックしてください(1つだけ)
0 激しい運動をした時だけ息切れがある。
1 平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩く時に息切れがある。
2 息切れがあるので、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いている時、息切れのために立ち止まることがある。
3 平坦な道を約100m、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まる。
4 息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをする時にも息切れがある。

 

CAT質問票

COPD-Q

原因

別名タバコ病ともいわれるように、80-90%は喫煙が原因です。

それ以外にも大気汚染、他人のタバコの煙を吸い込んでしまう受動喫煙、遺伝的要因などがあります。

診断

・呼吸機能検査(スパイロメトリー)

COPDをみつける、最も簡単で効果的な検査は、呼吸機能検査(スパイロメトリー)です。スパイロメトロリーは、息を深く吸い込んではき出すだけの簡単な検査で、痛みもありません。COPDになると、肺の空気を十分にはき出せなくなります。

スパイロメトロリー検査では、次のことがわかります。

・1秒量(FEV1):思い切り空気を吸い込んだ後、最初の1秒間で吐き出せる空気の量
・努力性肺活量(FVC):思い切り息を吸い込んだ後、最後まで吐き出せる空気の総量
・1秒率(FEC1%):1秒量を努力性肺活量で割った値、どれくらい速く息を吐き出して肺を空っぽにできるかを表す
・対標準1秒量(%FEV1)=1秒量実測値/1秒量予測値×100%

長期の喫煙歴があり、慢性の咳・痰、体動時の呼吸困難などの症状があり、肺機能検査で1秒率が70%をきると、COPDと診断されます。

さらに、肺機能の重症度は、年齢、性別、身長から割り出した予測値に対する比率(%FEV1)、呼吸困難や運動能力の低下などによる症状とあわせて判定されます。

肺機能検査によるCOPDの重症度

Ⅰ期 軽度 %FEV1≧80%
Ⅱ期 中等度 50%≦ <80%
Ⅲ期 高度 30%≦ <50%
Ⅳ期 きわめて高度 <30%

<肺年齢>

スパイロメトリー検査の結果から、肺年齢を計算することができます。肺年齢は、肺の健康を示すバロメータで、以下のサイトが参考になります。実年齢より肺年齢が高齢ならば、肺の機能が衰えているサインです。

肺年齢.net
http://www.hainenrei.net/measures/measurement.html

・胸部CT検査

胸部X腺写真は進行した場合には診断ができますが、早期発見にはCT検査が役に立ちます。

治療

まず、禁煙が第一です。

年齢とともに肺の機能は低下していきますが、喫煙者の肺機能は速やかに低下していきます。ですから、できるだけ若いうちに禁煙に取り組むことが大事です。

医療機関の禁煙外来では、薬とカウンセリングによる禁煙指導を行いますので、受診をおすすめします。

薬物療法

病気の進行度に応じて、

気管支を広げる薬(気管支拡張薬)や炎症を抑える薬(ステロイド薬)をおもに吸入薬で投与します。

長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、または、長時間作用型β2刺激薬(LABA)、が長期管理の基本になる薬です。

長時間作用性抗コリン薬は、前立腺肥大症や緑内障の方は、副作用がでることがあるので注意が必要です。

効果が不十分なときは、

長時間作用型β2刺激薬と長時間作用性抗コリン薬の併用や、徐放性テオフィリンを追加します。

増悪を繰り返す重症例には、吸入ステロイド薬(ICS)を使います。

COPDが進行すると、肺から十分な酸素を取り込むことができなくなり、家庭で酸素を持続的に吸入する在宅酸素療法が必要になることがあります。

ワクチンの接種をおすすめします

COPDの患者さんは、感染症が重症化しやすく、ときに死亡原因にもなります。インフルエンザワクチンは、COPDの増悪による死亡率を50%低下させ、すべてのCOPD患者に接種することが勧められています。肺炎球菌ワクチンは、65歳以上のすべてのCOPD患者、65歳未満の重症のCOPD患者に接種が勧められています。

参考

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版 日本呼吸器学会 2018

COPD診療のエッセンス 2014年版. 日本COPD対策推進会議編 2014.

GOLD. Global Strategy for the Diagnosis, Management, and Prevention of Chronic Obstructive Lung Disease (2017 Report)

小児喘息は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)になりやすい

2015.03.02

肺を強くする息のしかた

2014.02.13

タバコを吸うと、骨がもろくなる

2011.09.29

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の栄養療法

2008.02.28

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です