花屋のじいさん

「いってきます」庭に咲いたバラに朝のあいさつ
「ただいま」夕方には花が開き、表情をかえている

あれから10年経ちました。今年もじいさんの庭にきれいな花が咲いたので、写真を添えて手向けにします。

近所の花屋のじいさんは、私のガーデニングの師匠である。

2年前の夏、近所の花屋でレモンの苗を買った。
それを運んでくれたのが、じいさんとの出会いであった。
庭に木が植えたくてたまらない初心者の僕に、じいさんは言った。
「夏に木を植えるもんじゃない。秋になるまで待ちなさい。」

9月に花屋に行ったら、「まだまだ」
10月の末にようやく許可がでて、2mのブルーベリーを植えつけた。

それから、時々ふらっとやってきては、勝手に薬やら肥料やらをまいてくれた。
八十を超えたじいさんは、実に楽しそうに仕事をしていた。
好きなことを仕事にしている人間がもつ、誇りと幸福を感じさせてくれる。
植木が好きでたまらない。弁当を持って山木を一日中見るのが楽しいと言っていた。

年が明けて、じいさんがぱたりと来なくなった。
春には、また肥料をまきに来るだろう。
そう思っていた頃、じいさんが肺炎で亡くなった話を人づてに聞いた。
その夜、花屋に行ってみると、シャッターに忌中の張り紙が見えた。

じいさんがブルーベリーの苗を植えつけてから、わずか半年。
「庭に一本植えるなら、ブルーベリー」
その言葉通り、春には真っ白な花が鈴なり、秋には深紅の紅葉が美しいブルーベリーに、今年は、自分で油かすをまいた。

1 個のコメント

  • じーんとくる,いい話ですね.
    最後まで好きなことができて満足していたんじゃないかなと考えたいですね.そのおじいさん,医知場先生をはじめとしていろいろな方の庭に心に残る木を植えていると思います.そして多くの人たちの心の中に木の成長とともに思い出を残して旅立たれたのでしょうね.ブルーベリー大切にしてください.

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