療養ベッドがなくなる日

ホテルが客のニーズに合わせていろいろな部屋を用意するように、病院も患者さんの状態に応じて2種類の部屋を用意しています。治療によって短い入院期間で退院できる急性の病気の患者さんを対象とした一般病棟と、慢性的な病気で長期の入院を必要とする患者さんを対象とした療養病棟です。
療養病棟には、医療保険の適用になるベッドが25万床、介護保険の適用になるベッドが13万床、あわせて38万床あります。これが、2012年には23万床減らされて15万床になる予定です。入院している患者が減れば、それだけ医療費が浮くというのが国の考えです。いま入院している23万床の患者さんが、老人保健施設や有料老人ホームなどの施設に移ることになります。
この計画を達成するために、国は今年の診療報酬で重症度の低い患者さんの入院料金を極端に低くしました。国が決めた重症という基準は、気管切開をして自力で呼吸ができない、食事がまったくとれずに24時間点滴をしているなど非常に重症度が高いもので、これに対応するために十分な看護スタッフを用意できない病院ではつぶれるところもでてきました。
療養病棟をかかえた病院は、老人ホームに衣替えするか、重症の患者を集めて収入を確保するかの選択に迫られて、一部では重症患者の争奪戦もはじまっており、医療業界もまさに羅生門の世界になりつつあるようです。
芥川龍之介全集〈1〉

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