医師の知らないうちに、処方した薬が変えられる

くすりを開発するには長い時間とたくさんのお金がかかります。そうしたコストをかけて開発されたオリジナルのくすりがブランド品です。それに対して、オリジナルのまねをして作ったオリジナルとまったく同じ成分のくすりをジェネリックといい、先発品に対して後発品ともよばれています。

今回の診療報酬改定では、値段の安い後発医薬品の導入を大幅にすすめるために、かなりの変更が行われています。

まず、処方した医師の確認をとることなく、調剤薬局の判断で後発品へ変更でき、かつ、薬の含量や規格も変更してよいことになりました。

具体的には、
「後発医薬品への変更不可」の記載がない処方せんの場合、患者の同意があれば、処方した医師に確認することなく、含量が違う薬に変更していい。たとえば、中身が同じであれば、10mg1錠を5mg2錠にかえていい。

また、処方医に確認せずに、剤形をかえてもいい。たとえば、錠剤をカプセルや顆粒にかえていい。

医師が、含量や剤形を変えることに支障があると判断したときは、処方せんに「含量規格変更不可」、「剤形変更不可」と記載する必要があります。逆に言うと、この記載がなければ、調剤薬局は患者に説明して、自由に含量や剤形の違う薬に変更することができます。

さらに、後発品に変更した場合は、調剤薬局は加算料金をもらいます。後発薬に変更すればするほど、料金の割り増しが増えるしくみです。

後発医薬品調剤体制加算(処方せん受付1回につき)
調剤薬のうち後発品の割合が20%以上 6点
25%以上 13点
30%以上 17点

厚生労働省は、保健医療機関および保健医療担当規則等の改正を行い、公式に後発品の導入を保険医の義務として通知しました。

外来患者が、より後発医薬品を選択しやすいようにするため、保険医療機関及び保険医療養担当規則等において、以下のとおり規定する。保険医は、投薬又は処方せんの交付を行うに当たって、後発医薬品の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択する機会を提供すること等患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応に努めなければならない。

[通知において以下を記載]患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応としては、例えば、診察時に後発医薬品の使用に関する患者の意向を確認すること、保険薬局において後発医薬品に変更して調剤することや後発医薬品の使用に関する相談の対応等が可能な旨を患者に伝えること等をいう。

また、入院中の患者にも後発品を処方することをすすめ、後発品の採用が多い医療機関は入院時に30点の料金が加算されます。
後発医薬品使用体制加算 30点(入院初日)
後発品の採用品目数の割合が20%以上の場合

結局は、後発薬の導入を進めるために、割増料金を設定し、医療機関を誘導しているのですが、その負担は患者が払っているのです
 

写真なし

2 件のコメント

  • 医師の知らない間に薬が変更される事は知りませんでした。薬局から医療機関へは変更のお知らせが行くものと思っていました。勉強になりました。ありがとうございます。
    それから、ひとつの先発品に対して、ひとつのジェネリックという風に一対一の製品と思い込んでいる方が多いのですが、実はジェネリックはたくさんの会社からゾロゾロ作られていて一対多の製品である事はあまり知られていない事実ですよね。薬局によっては、慢性病の薬を数ヶ月毎にジェネリックから他の会社のジェネリックに変更される所もあると聞きました。それも、怖いですね。自分の飲むお薬は、自分で把握する事の大切さを教えていただいたような気がしています。

    蛇足ですが、私が最近疑問に思う事を書かせていただきます。
    調剤薬局が、血糖値500円. Hba1c1000円、ldlコレステロール値、、、、円、というように自己採血キット検査を薬局内で行い、結果の数値のみを本人に知らせ、単品で測った分のみの金額を請求するという事に懸念を感じます。
    薬局は数値に関するコメントは一切しないという規定のある中で、患者が自分で検査項目を選び、ワンスポットのみの値で勝手に安心してそのまま放置して、最悪の場合、例えば、その検査項目だけでは診断できない糖尿病が隠れていて悪化するかもしれないという怖さは説明なさらない。自己判断ですからという事なのでしょうが、患者さんのことを考えれば少し無責任な業務に思えます。
    薬局側の建前は、医療機関の敷居は高いので、買い物ついでの主婦が気軽に検査できて早期発見に繋がるので、長い目で見れば、医療費削減につながるという事です。
    本当にそうでしょうか?
    簡易キット検査で見逃された糖尿病患者さんが腎症や最悪人工透析になったとしたら、医療費は削減どころか増える方向に進むと思うのですが。
    しかも簡易検査キットの値は、多少のブレが生じることは容易に想像出来ます。
    実際、私は、医療機関でいつもの二倍量を採血して貰い、同じシリンジの血液を医師会検査センターと大手検査機関に依頼した所、いち番ブレが大きかった値は、Hba1cで、片方が5.0もう片方は5.5という検査結果が返ってきました。検査センターでの値がこれほどブレるなら、親指の先から針を自分で刺して無理やり絞り取った血液での簡易キット検査の値ってどの位信憑性があるのでしょうか。
    医知場先生は、このような薬局側の取り組みについてどのようにお考えでしょうか?

    • とよこんさん、コメントありがとうございます。

      まず、ジェネリックへの変更についてですが、
      医師は、この薬はジェネリックに変更して良いとか、変更不可といった指定をすることはできます。
      しかし、いったんジェネリック可とした場合、どの会社のジェネリックにするかまでは指定できません。
      薬局からジェネリックに変えた報告は受けますが、それについての異議は基本的には言えません。
      将来的には、仕入れメーカーが特定の会社に偏りすぎている薬局や、仕入れ値をダンピングしているジェネリックメーカーに規制がかかるものと思われます。

      次に、薬局での採血検査についてですが、
      わずか数項目の検査項目を、保険診療に比べて高い値段設定で、かつ、診断能力のない人間が検査することは疑問です。

      今後、儲けすぎている調剤薬局への規制が強化されていきますので、調剤薬局バブルはまもなく破綻します。
      これからは、患者の薬をかかりつけ薬局として一元的に管理できるスキルのある薬局しか生き残れないでしょう。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です