病気・治療について
医知場
甲状腺癌と腫瘍マーカー
甲状腺癌のなかで、「髄様癌」という組織型では、血液中のカルシトニン、CEAが上昇するので腫瘍マーカーとして使われます。しかし、髄様癌の頻度は低く、全体の1.5%ほどで、甲状腺癌のすべてを診断するような腫瘍マーカーはありません。また、CEAやカルシトニンも、診断の補助、術後の経過観察、再発の監視のために使われるもので、腫瘍マーカーだけで診断できるものではありません。甲状腺全摘術を行った場合は、術後の再発マーカーとしてサイログロブリンが用いられます。
甲状腺癌は、病理組織学的に以下のように分類されます。
乳頭癌
- 甲状腺癌の中で最も頻度が高く、全体の90%
- 男女比は1:7-8
- リンパ節転移が多い
- ゆっくり進行し、予後はよい
- 術後10年生存率は90%、予後は良好
濾胞癌
- 乳頭癌についで多い(約5%)
- 10年生存率が約80%
- 血行転移が多い
- さらに、微小浸潤型と広汎浸潤型に分類され、後者の予後は悪い
髄様癌
- 甲状腺悪性腫瘍の約1.5%
- 腫瘍マーカーとして、血液中のCEA、カルシトニンが上昇する
- 遺伝性の髄様癌に、遺伝性の多発性内分泌腺種症(multiple endocrine neoplasia:MEN)、家族性髄様癌(familial medullary thyroid carcinoma:FMTC)がある
- MENでは、副腎褐色細胞腫や副甲状腺過形成を合併することが多い
- MEN2Aでは、RET遺伝子の変異を認める
未分化癌
- 全体の2-3%
- 高齢者、男性に多い
- ほとんどが乳頭癌からの転化
- 予後は不良
悪性リンパ腫
- 慢性甲状腺炎(橋本病)の人に多い
- Gaシンチグラムで陽性、超音波検査で低エコー像を呈する
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