毎日、内服薬やサプリメントなどで、大量のビタミンDを摂取し続けると、血液中のカルシウム濃度が高くなりすぎて、いろいろな症状が現れることがあります。
ビタミンD過剰になると、食欲不振、吐き気、のどの渇き、多尿、体重減少、不整脈、脱力感、神経過敏などが起こります。しかし、典型的な症状ではないので、症状だけから判定するのは難しいです。さらにすすんで、カルシウムが腎臓にたまると、腎機能が低下し、腎不全になる場合もあります。
診断は、血液中のビタミンD濃度の測定です。ビタミンDの濃度が高い場合は、ビタミンDの内服薬やサプリメントを中止する必要があります。
もちろん、ビタミンDは、体にとってなくてはならないものです。
ビタミンDは、食物として腸から吸収されるほかに、日光の紫外線を受けて皮膚で作られます。日光にあたる時間が不十分で、食物からもビタミンDが補給されないと、ビタミンDが欠乏します。
皮膚で作られたり、食品から摂取したビタミンDは、そのままの状態では活性がなく、肝臓と腎臓でそれぞれの代謝を経て、活性型に変化します。
ビタミンDは、小腸でのカルシウムの吸収を促進して、血液中のカルシウム濃度を維持し、骨の正常な石灰化を促します。ですから、ビタミンDが不足すると、骨がもろく、折れやすくなってしまいます。
- ビタミンDを天然に含む食品は非常に少なく、
- サケ、マグロ、サバなどの脂肪の多い魚
- 牛のレバー、チーズ、卵黄、キノコ類くらいです。
高齢者では、日光の紫外線を受けてビタミンDを作る効率が低下したり、ビタミンDを活性化する腎機能が低下したりして、ビタミンDが不足しがちになります。
そこで、ビタミンDを補うことは理にかなっているのですが、漫然と大量のビタミンDを摂取し続けていると、ときに過剰になって副作用を起こしてしまいます。
ビタミンDに限らず、ビタミン類は不足しても、過剰になっても害を起こすことがあるという認識が必要です。
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