49歳の男性が、「胃が痛いから、胃カメラをするように言われたので予約に来ました」と受診されました。
病歴を聞くと、「3日前から胃が痛く、吐き気があるので、近くのクリニックで胃薬をだしてもらったが、よくならない。なんとなく背中も痛い。前日には、病院の夜間外来で診察を受け、胃カメラを受けるように言われた。胃薬で、吐き気や胃の痛みは少しよくなったが、胃カメラを受けに来た。」ということでした。
「胃カメラの予約はしますが、ほかに病気が隠れているといけませんから、簡単な血液検査をしておきましょう。」
このときは、膵炎や胆石症の可能性もあると考えてだした検査だったが、明らかに異常値があり、
あわてて、心電図検査をした結果は「心筋梗塞」でした。
すぐに、カテーテル治療ができる病院に搬送し、事なきを得たが、心底肝を冷やしました。
「胃が痛い」、「背中が痛い」と訴える患者さんが、実は心臓の病気であるといったことは、ときどき経験するのですが、先入観や思い込みは、判断力を鈍らせてしまうということを、もう一度、肝に銘じたケースでした。
こんなケースもありました。
先日、「胃が痛い」と外来にこられた患者さんがいました。よく聞くと、3日前から、みぞうちから背中にかけて不快感があり、今朝、強い痛みが20分ほど、その後も痛みが続いているといいます。
もともと、糖尿病のある患者さんだったので、心臓の病気もあるなと思って、心電図をとると、波形に変化があり、心筋梗塞でした。
その後、すぐに、循環器科で心臓カテーテルの治療をしてもらいました。完全に心臓の血管がつまる前だったので、今にもつまりそうな血管を、ステントという金属の輪で広げました。心臓の筋肉が死なずに済んだので、回復も順調でした。
心筋梗塞の典型的な症状は、胸痛ですが、胸痛以外にも、みぞうちや背中の痛み、吐き気など、胃腸の症状に似ていることもあります。
いつもと明らかに違う症状を感じたときは、自分で「胃が悪いんだろう」と軽く考えずに、医師と相談した方がいいでしょう。
いつも勉強になります。以前も、胃が痛いという患者さんのエピソードが掲載されていましたね。あの時は、採血とエコーで他の病気が発見されたと記憶しています。初診外来患者さんで、自己判断して病名までつけてご来院される方も確かにたまにおられますね。今は、ネットで自分の症状を入力すると病名が出てくる時代だとか、、、、。そういう時代にもそういう患者さんにもついて行けそうにありませんが、たつもと先生のような名医に出会えた患者さんは、ラッキーですね!これからも、いろんなエピソードをご教授下さい。
せっかくのお褒めの言葉に、お返事が遅くなり恐縮です。
同じようなエピソードが続くのは、私の記憶力の低下かもしれません。
今後とも、お褒めいただける医者を目指して、努力していきたいと思います。
ネットには情報が氾濫し、何でも解決できるような錯覚にとらわれることもありますが、
やはり、地道な医師と患者さんのコミュニケーションが医療の基本なのだと、
教えられることの多い毎日です。