ノロウイルスの胃腸炎が流行する時期になると、新聞やテレビでも頻繁に報道されているので、患者さんからも「ノロウイルスかどうか調べて欲しい」と言われることがあります。
なかには、会社からノロウイルスかどうか聞かれる人もいるようです。
ノロウイルスは特別なウイルスではありません。1年を通じて胃腸炎をおこすウイルスですが、とくに冬に流行します。
ウイルスに汚染された貝類を十分に加熱せずに食べたり、家庭や職場などでヒトからヒトへと感染して胃腸炎をおこします。
ノロウイルスに感染しているかどうかを調べるには、便のなかのウイルス抗原を簡単に測定できるキットが開発されています。
しかし、保険で認められているのは、
- 3歳未満の患者
- 65 歳以上の患者
- 悪性腫瘍の診断が確定している患者
- 臓器移植後の患者
- 抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、又は免疫抑制効果のある薬剤を投与中の患者
つまり、幼児や高齢者、がんなどの患者で、免疫力が弱く、重症になりやすい人が対象です。
大人の方に、一般的に行う検査ではありません。保険適応のない人に、検査を行う場合は、自費負担になります。
病院に入院中の方や、新規に入院される方で、嘔吐や下痢などの胃腸炎の症状がある方は、医療機関の判断で、院内感染を防ぐために行う場合もあります。
ノロウイルスに対する特別な薬はありませんので、全身状態の悪くない大人が、ウイルスの検査をして、ノロウイルスの診断を確定する必要はないと考えます。
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