大動脈解離

出血

大動脈解離は、解離性大動脈瘤ともいいます。突然、太い動脈の壁が裂けて血液が入りこみ、もともとの血管(真腔)に沿うようにして別の管(偽腔)ができます。一本だった血管の壁が裂けて(解離して)、2本の血管が並んでいるように見えます。動脈の解離は、短時間で広がることがあります。

血管の壁は薄くなるので破裂しやすくなります。血管の裂け目が広がると、臓器へ血液を送る血管をふさいでしまい、臓器に血液が流れなくなります。したがって、迅速な診断、治療が必要ですが、ときに死にいたる重篤な病気です。

大動脈解離の発症のピークは、男女とも70代で、冬場に多く、夏場に少ない傾向があり、また、日中の活動している時間帯に多いといわれています。高血圧、喫煙、脂質異常などによる、動脈硬化が原因と考えられています。

症状

  • 突然のきわめて激しい胸背部痛
  • 解離の進行に伴い、痛みが移動するのも特徴
  • 失神・意識障害、麻痺・けいれん、腹痛などの多彩な症状が現れることがある。

検査

  • とくにCT検査が有用です。
  • ほかにも、心エコー検査、MRI検査
  • 血液中のD-ダイマー値などが参考になります。

分類

解離の範囲、偽腔の血流状態によって分類され、治療方針の参考になります。Stanford A型は、多くが緊急手術になります。

  • 解離が心臓に近い上行大動脈にある=Stanford A型、ない=Stanford B型
  • 偽腔に血流がある=偽腔開存型、偽腔が血栓で閉塞=偽腔血栓閉塞型

治療

  1. 手術
    • Stanford A型+偽腔開存型は、人工血管置換による手術が基本です。
    • 血管にカテーテルを通してステントグラフトを留置する、血管内治療が行われることもあります。
  2. 保存的治療
    • Stanford B型では、血圧コントロールを中心とした内科的な治療が行われます。

<参考>
日本循環器学会「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011年改訂版)」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。