便秘の薬

便秘とは、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」のことです。腸の中にたまった便がしっかり、かつ、楽にだせることが大事なのです。

「十分量」と「快適」というところがポイントで、便秘には大きく分けて二つの状態があります。
・排便回数や排便量が減少して糞便が大腸内に滞った状態=十分量を排出できない状態
・糞便が直腸まで移送されているが、そこから体外になかなか排出できない状態=快適に排出できない状態

便通を良くする薬を下剤といいますが、下剤にはいくつかのタイプがあり、最近では新しい作用の薬も開発されています。

日本で一番よく使われている下剤が、「刺激性下剤」といわれるもので、センノシド、ビサコジル、ピコスルファートナトリウムなどがあります。

「刺激性下剤」は、腸の動きを活発にして、排便を起こす薬です。市販薬の7割が、このタイプの薬です。

即効性があって効果も強いので、よく使われているのですが、長期につかうと、「飲まないと便がでない」、「だんだん薬が効かなくなる」、「薬の量を増やさないと効かなくなる」という問題がでてきます。ですから、刺激性下剤は、続けて飲まずに、必要なときにだけ飲むのがコツです。

「浸透圧性下剤」は、腸の中に水分を分泌させて便を軟らかくする薬です。自然な排便が得られるので、日本では第一選択薬として使われています。

「浸透圧性下剤」の代表は、酸化マグネシウムですが、腎機能が低下している高齢者では、高マグネシウム血症による徐脈(脈が遅くなる)や心不全などの副作用がでることがあるので、注意が必要です。

「膨張性下剤」は、腸内の水分を取り込み、便を膨張させ、柔らかくして排便しやすくする薬です。海外ではよく使われていますが、作用が強くないことやお腹の張りがでやすいこともあり、日本では海外ほどは使われていません。

最近では、上皮機能変容薬、胆汁酸トランスポーター阻害薬などの新しい作用の薬が発売され、頑固な便秘にも効果のある薬が手に入るようになりました。

便秘の症状には、大腸がんなどの重大な病気が隠れていることがありますので、自己判断で市販薬を飲み続けたりすることなく、医師と相談の上、自分にあった治療をしましょう。

<参考>

慢性便秘症診療ガイドライン2017. 日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会,2017年

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