鼻の穴から喉の奥までを、鼻腔(びくう)といいます。鼻の奥は、頭蓋骨の中にある「副鼻腔(ふくびくう)」という空洞と隣合わせになっています。つまり、鼻の奥の、骨の中にある空洞が副鼻腔です。
鼻が炎症を起こして鼻炎になると、さらに奥の副鼻腔に炎症が広がることがあります。これが、副鼻腔炎です。蓄膿症(ちくのうしょう)といわれることもあります。
副鼻腔は骨の中にあり、血流が少ないので抗生剤が移行しにくく、完治せずに再燃を繰り返し、慢性化することがあります。
副鼻腔からでた細菌の混じった鼻水は、少しずつ、肺の方に流れ込み、気管支炎や肺炎を起こすことがあります。副鼻腔気管支症候群(ふくびくうきかんししょうこうぐん)と呼ばれています。
気管支炎や肺炎を繰り返す患者さんに、耳鼻科での診察をおすすめすることがあるのは、こうした病気が潜んでいるからです。
副鼻腔気管支症候群の特徴
- 慢性副鼻腔炎に慢性気管支炎、気管支拡張症、もしくは、びまん性汎細気管支炎が合併
- かぜやのどの炎症をきっかけに痰のある咳がでるようになる
- 後鼻漏(鼻の奥に降りてくる感じ、垂れてくる感じ)、鼻汁および咳払いといった副鼻腔炎症状をしばしば伴う
- 喘鳴を伴う呼吸困難発作を認めない
- 上咽頭や中咽頭に粘液性の分泌物(後鼻漏)を認めることがある
- X線写真、CT検査で、副鼻腔炎の画像所見を認める
- 喀痰培養で、肺炎球菌、インフルエンザ菌などがしばしば検出
- 血清IgA高値、血清寒冷凝集素価の上昇をしばしば認める
- 治療では、マクロライド系抗菌薬と去痰薬の併用が有効
- 気管支拡張薬、H1受容体拮抗薬、抗アレルギー薬および副腎皮質ステロイド薬はいずれも無効
コメントを残す