レッドフラッグを見逃すな

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緊急に治療が必要な、重症の病気を警戒する必要がある徴候や症状のことを、レッド・フラッグ・サイン(red flag sign:赤旗徴候)といいます。患者さんの様々な訴えや症状のなかで、このレッドフラッグを見逃すと、思わぬ大きな病気を見逃すことになりかねません。

たとえば、嘔吐や下痢をおこす胃腸炎は、水分を補うだけで治ってしまうことが大半ですが、次のような症状がある方は、入院の上、点滴や抗生剤の使用など適切な治療が必要な、レッドフラッグを振っている患者さんです。

胃腸炎のred flag sign

  • 非常に強い腹痛が持続する
  • 重度の下痢(1日6回以上)かつ高熱
  • 血便
  • 高齢者、妊婦
  • 基礎疾患(人工血管・人工弁・人工関節、糖尿病、免疫不全など)のある方

頭痛や腰痛にも、レッドフラッグが隠れています。

頭痛のred flag sign

  • 初めて、または人生最悪の頭痛
  • 突然発症した雷鳴頭痛
  • 増悪、または全く異なるパターン
  • 脳神経学的異常所見が1時間以上続く
  • 50歳以上で新規に発症した頭痛
  • 担癌患者、免疫抑制患者、妊婦に起こった新規の頭痛
  • 意識変容や意識障害を伴う頭痛
  • 労作、性行為、バルサルバ法(いきみ)により誘発された頭痛
  • 当てはまる場合には、くも膜下出血、髄膜炎、脳腫瘍等の重篤な疑う

腰痛のred flag sign

  • 年齢50歳以上
  • 癌の既往
  • 原因不明の体重減少
  • 1ヶ月の治療で軽快しない腰痛
  • 休息により改善しない腰痛
  • 膀胱直腸障害
  • 一側または両側の下肢筋力低下
  • 長期のステロイド内服
  • 当てはまる場合には、癌や化膿性脊椎炎などの感染症を疑う

ありふれた症状の中から、危険なサインを見逃さないことは、臨床医にとって、最も重要なスキルです。

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