よくわかる介護報酬2021 – 要介護サービスの料金

車椅子

要介護のサービスと料金

要介護1-5向けのサービスを介護給付といい、要支援1・2向けのサービスとは区別されています。2021年4月から料金が改定されています。それぞれのサービスの内容と料金を説明しましょう。

居宅サービス

自宅で利用できるサービスです。自宅と同様にみなされる施設で受けるサービスもあります。また、自宅での生活を支援するための、福祉用具や住宅改修の費用の補助などもあります。

1)訪問介護

ホームヘルパー(訪問介護員)が自宅を訪問して、家事や生活の介助をするサービスです。食事、排泄、入浴などの利用者の体に直接触れる「身体介護」、掃除、洗濯、買い物などの家事を行う「生活援助」という 2種類のサービスに分かれます。

身体介護、1回あたりの料金

20分未満167単位
20分以上
30分未満
250単位
30分以上
1時間未満
396単位
1時間以上
1時間30分未満
579単位
以降30分増すごとに84単位

生活援助のみ、1回あたりの料金

20 分以上 45分未満183 単位
45分以上225 単位

2)訪問入浴介護

自宅に浴槽を運んで、 2-3人で入浴の介助を行います。 1回の利用料は、 1260単位です。

看護職員1人、介護職員2人で行った場合

1 回あたり1260単位

3)訪問リハビリテーション

通院が困難な人に日常生活の活動を向上させるために、理学療法士、作業療法士などの専門家が、医師の指示に基づく内容のリハビリテーションを行います。

1 回の利用料は20分で、307単位です。

1 回あたり(20分未満)307単位

4)訪問看護

看護師が、医師の指示に基づいて看護サービスを提供します。法人が運営する訪問看護ステーションと、病院や診療所が行うサービスの料金に違いがあります。

 20分未満30分未満30分以上1 時間未満1 時間以上 1 時間 30分未満
訪問看護ステーション313単位470単位821単位1125単位
病院・診療所265単位398単位573単位842単位

5)居宅療養管理指導

通院が困難な人に、医師や歯科医師、薬剤師などが自宅を訪問して、療養上の指導や助言を行います。居宅療養管理指導は、医師の指示に基づくもので、居宅サービスの限度額の対象にはなりません。

医師による指導(居宅療養管理指導費Ⅰ)

単一建物居住者が1人514単位
単一建物居住者が2-9人486単位
単一建物居住者が10人以上445単位

6)通所介護(デイサービス)

日帰りで施設に通い、食事や入浴、機能訓練や日常生活訓練を行います。食費は、全額、利用者の負担になります。

料金は施設の規模によって違いますが、一例として、通常規模の施設を、7時間以上8時間未満(1 日につき)、利用したときの料金です。

要介護1655単位
要介護2773単位
要介護3896単位
要介護41018単位
要介護51142単位

7)通所リハビリテーション(デイケア)

日帰りで施設に通い、食事、入浴などの日常生活の支援、生活機能の維持や改善のためのリハビリテーションを行います。

通所リハビリテーションができるのは、病院、診療所、介護老人保健施設などの医療機関のみです。食費は、全額、利用者の負担になります。

料金は施設の規模によって違いますが、一例として、要介護3の方が通常規模の施設を利用したときの1回あたりの料金です。

3時間以上4時間未満638単位
4時間以上5時間未満725単位
5時間以上6時間未満846単位
6時間以上7時間未満974単位
7時間以上8時間未満1039単位

8)短期入所生活介護(ショートステイ)

施設に短期間入所して、入浴や食事の世話など、すでに入所している人と同様のサービスを受けることができます。料金は、施設、部屋、要介護度などによって異なります。日常生活費(食費・滞在費・理美容代など)などは、別途負担する必要があります。

1日にあたりの料金、従来型個室の例

要介護1 638単位
要介護2 707単位
要介護3 778単位
要介護4 847単位
要介護5 916単位

9)短期入所療養介護

医学的な管理を必要とする人が、介護老人保健施設や介護療養型病院などの医療機関に短期間入所し、介護、看護の医療サービスを受けることができます。

料金は、施設、部屋、要介護度、1人あたりの職員の数などによって異なります。日常生活費(食費・滞在費・理美容代など)などは、別途負担する必要があります。

老人保健施設、1日にあたりの料金、従来型個室の例

要介護1752単位
要介護2799単位
要介護3861単位
要介護4914単位
要介護5966単位

10)特定施設入居者生活介護

有料老人ホーム、ケアハウス、養護老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅は、介護保険では利用者の自宅と考えられています。こうした施設に入居している人に、日常生活の支援や介護を提供します。入居費用・日常生活費(おむつ代など)などは、別途負担する必要があります。

1日につき

要介護1538単位
要介護2604単位
要介護3674単位
要介護4738単位
要介護5807単位

11)福祉用具貸与、福祉用具販売、住宅改修費支給

日常生活の自立を助けるための福祉用具(車いす、特殊ベッド、床ずれ防止用具、体位変換機、認知症老人徘徊センサー、移動用リフト、歩行器、歩行補助つえ、手すり、スロープなど)を貸し出します。

福祉用具の貸与については、平成30年10月から、全国平均価格の公表や上限価格の設定が行われることになりました。

要介護1の人には、車いす、特殊ベッド、床ずれ防止用具、体位変換機、認知症老人徘徊センサー、移動用リフトは、原則として対象外となります。

入浴や排泄などに必要な福祉用具を購入する費用の補助もあります。たとえば、腰掛け便座、入浴補助用具、特殊尿器、簡易浴槽などが対象になります。ほかにも、手すりや段差解消などの住宅改修をした場合、改修費用が補助されます。

地域密着型サービス

認知症や一人暮らしの高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるように支援するサービスを、地域密着型サービスといいます。

1)定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期的な巡回と、緊急の対応を24時間体制で行い、訪問介護と訪問看護の両方のケアを提供するサービスです。事業所が介護と看護を一体的に提供する一体型、外部の訪問看護事業所と連携する連携型があります。

 連携型または一体型 (訪問看護なし) 一体型 (訪問看護あり)
要介護15697単位8312単位
要介護210168単位12985単位
要介護316883単位19821単位
要介護421357単位24434単位
要介護525829単位29601単位

2)夜間対応型訪問介護

夜間帯(18時〜8時)に訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問して、トイレの介助や体調の変化などを行います。定期的な巡回以外に、急に体調が悪くなったときなどに随時対応を行います。

オペレーションセンターを設置している場合基本利用料1025単位/月
定期巡回サービス386単位/回
随時訪問サービス訪問介護員が1人で訪問した場合588単位/回
2人で訪問した場合792単位/回
オペレーションセンターを設置していない場合2800単位/月

2)認知症対応型通所介護

認知症の人を対象としたデイサービスです。料金は、施設が単独で運営されている場合、他施設との併用型、グループホームなどの共用部分を利用する場合などで違います。

下表は、単独で運営されている事業所を、7時間以上8時間未満、利用した場合の1回あたりの料金です。送迎に係る費用も、含まれています。食費やおむつ代などの日常生活費は別途負担する必要があります。

1回あたりの料金

要介護1992単位
要介護21100単位
要介護31208単位
要介護41316単位
要介護51424単位

3)小規模多機能型居宅介護

施設への通所、自宅への訪問、宿泊の3つのサービスを、 1 つの事業所が提供します。利用者の状態や家族の希望に応じて、3つのサービスを組み合わせて利用することができます。

料金は、要介護度別の1ヶ月あたりの定額制です。食費、宿泊費、おむつ代などの日常生活費が別途必要になります。

1ヶ月あたり

要介護110423単位
要介護215318単位
要介護322283単位
要介護424593単位
要介護527117単位

4)認知症対応型共同生活介護

グループホームとよばれる施設で、認知症の人が5-9人で共同生活をしながら、入浴、食事などの介護や機能訓練などを受けるサービスです。食費、おむつ代などの日常生活費は、別途必要になります。

1日につき

要介護1764単位
要介護2800単位
要介護3823単位
要介護4840単位
要介護5858単位

5)地域密着型特定施設入居者生活介護

定員 29人以下の小規模な有料老人ホーム、ケアハウスなどの特定施設に入居し、日常生活の世話や、機能訓練、療養の世話などを受けるサービスです。入居費用、おむつ代などの日常生活費が、別途必要になります。

1日につき

要介護1542単位
要介護2609単位
要介護3679単位
要介護4744単位
要介護5813単位

6)地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

定員29人以下の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入居し日常生活の世話や、機能訓練、療養の世話などを受けるサービスです。

施設や部屋のタイプ、職員の数や対応状況などで料金が異なります。居住費、食費、日常生活費が別途必要になります。

1日にあたりの料金、従来型個室の例

要介護1582単位
要介護2651単位
要介護3722単位
要介護4792単位
要介護5860単位

施設サービス

施設サービスは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)介護老人保健施設介護療養型医療施設のいずれかの施設に入所して受けるサービスです。それぞれの施設には特徴があります。

介護老人福祉施設は、自宅での生活が難しい人が介護を受けながら生活する施設で、サービスの中心は日常生活の世話です。

介護老人保健施設は、医師が常駐し、病気が悪化した場合は一時的に医療サービスを受けることができますが、基本的には病状を安定させ、自宅へ戻るためのリハビリテーションを行うための施設です。

介護療養型医療施設は、介護保険を利用して、病院に入院して受けるサービスです。病気の状態は安定しているが、医療の管理が必要な人が対象です。

介護保険から支払われる料金は、施設で提供される介護に対しての料金で、家賃(居住費)、食費などは別に全額を負担する必要があります。

また、個室か相部屋か、別の施設と併設されているか、介護や看護の体制などによって、加算料金が加わることがあります。

1)介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

常時介護が必要で自宅での生活が困難な人が、日常生活上の支援や介護を受ける施設です。要介護度、部屋のタイプにより、料金が違います。

新しい施設では全室個室で、共用スペースを設けたユニット型個室が多くなってきました。ユニット型個室の料金は、この例より高くなります。居住費、食費、日常生活費が別途必要になります。

従来型個室の例、1日あたり

要介護1573単位
要介護2641単位
要介護3712単位
要介護4780単位
要介護5847単位

2)介護老人保健施設

状態が安定した人が在宅へ復帰できるように、介護、看護、リハビリテーションを行う施設です。要介護度、部屋のタイプにより、料金が違います。表には、ひと部屋に数人が入所する多床室の例をあげました。このほかに、居住費、食費、日常生活費などが別途必要になります。

従来型多床室の例、1日あたり

要介護1788単位
要介護2836単位
要介護3898単位
要介護4949単位
要介護51003単位

3)介護療養型医療施設

急性期の治療が終わり、医学的に長期の療養が必要な人が入院する医療施設です。重症者、医療処置の必要な方、ターミナルケアの必要な方の割合など、医療施設の体制によって、療養機能強化型A、B、その他に分類されます。

このほか、部屋のタイプ、要介護度により、料金が違います。表には、介護療養のベッドをもつ病院の相部屋に入院した例をあげました。さらに、居住費、食費、日常生活費などが別途必要になります。

多床室の例、1日あたり

 療養機能強化型A療養機能強化型Bその他
要介護1717単位705単位686単位
要介護2815単位803単位781単位
要介護31026単位1010単位982単位
要介護41117単位1099単位1070単位
要介護51198単位1180単位1146単位

4)介護医療院

2018年4月から、新しく「介護医療院」という施設がつくられました。

「介護医療院」は、長期療養のための医療と日常生活の介護のどちらの機能も兼ね備えた施設をめざしています。介護医療院は、重い身体疾患を有する人や、合併症のある認知症高齢者などが対象となるⅠ型、それ以外のⅡ型に分かれます。さらに、居住費、食費、日常生活費などが別途必要になります。

Ⅰ型(多床室の例、Ⅰ日あたり)

要介護1825単位
要介護2934単位
要介護31171単位
要介護41271単位
要介護51362単位

Ⅱ型(多床室の例、Ⅰ日あたり)

要介護1779単位
要介護2875単位
要介護31082単位
要介護41170単位
要介護51249単位

よくわかる介護報酬で解説されている料金は、あくまでも目安とお考えください。実際には、施設の状況により料金には違いがあり、地域によっても料金やサービスの内容が違いますので、担当のケアマネージャーなどと、よくご相談ください。

この特集を通じて、皆様の介護保険の知識が少しでも充実し、賢い利用者として、介護サービスを利用して頂ければ幸いです。

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