かぜ(風邪)は症状で診断します

かぜ

かぜ(風邪)は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰などの呼吸器症状に、発熱や倦怠感、頭痛、関節痛などの全身症状をともない、およそ1週間で治る病気です。感冒(かんぼう)ともいいます。

風邪症状、感冒様症状とは

鼻症状(鼻水、鼻づまり)、咽頭症状(咽頭痛)が主な症状で、発熱、頭痛、全身倦怠感、軽い咳・痰などがあります。

「かぜ」は、風邪症状(感冒様症状)のある病気の総称で、かぜ症候群ともいわれます。「かぜ」は、症状につけられた病名です。

原因

80-90%がウイルスによるものです。原因となるウイルスには、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなどがあります。インフルエンザウイルスによる感染症は、ふつうのかぜより症状が激しく、予防や治療についての配慮が必要なので、かぜとは区別して扱います 。

かぜとの鑑別が必要な病気

1.咽頭痛が強い場合:溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)による咽頭炎

  • 次の条件に3点以上当てはまる場合は、溶連菌感染の可能性が高くなります(Centorスコア)
  • 高熱(38℃以上)
  • 前頸部リンパ節腫脹
  • 扁桃の白苔や腫大
  • 咳がない
  • 15歳未満(ただし、45歳以上の場合は、−1点)

2.咳が強い場合:肺炎、気管支喘息、百日咳

3.頭痛が強い場合:副鼻腔炎、髄膜炎

4.鼻汁・鼻閉が強い場合:アレルギー性鼻炎

5.発熱や全身倦怠感のみの場合、重い病気が隠れていることがあり、とくに高齢者は症状が乏しく、注意が必要です。

治療

かぜの80-90%は、根本的な治療のないウイルスが原因です。したがって、かぜの治療は症状をおさえる治療が主体になります。1週間以上症状が続く「こじれた」かぜは、気管支炎や肺炎をおこしている可能性がありますので、医師の診察をうけ、必要ならば胸部X線写真をとってください。

  1. くすりによる治療
    • 発熱、のどの痛み、頭痛などの症状がある場合は、消炎鎮痛剤が使われます。ピリン系薬によるアレルギー、アスピリンなどの消炎鎮痛剤による喘息などの副作用に注意が必要です。鼻汁、咳、痰などの症状が強い場合は、症状をおさえる薬を投与します。黄色の痰があったり、血液中の白血球数が増加しているなど、細菌の感染が疑われるときは、抗生剤の投与を行うことがあります。
  2. 安静
    • 過労をさけ、十分な睡眠をとりましょう。
  3. 室内の加温・加湿
    • かぜの原因ウイルスは33℃前後が増殖に適した温度で、冬の鼻腔内がちょうどこれくらいの温度になります。さらに、冬の乾燥した外気によって、鼻腔の粘膜が乾燥しウイルスが排除しにくくなります。マスクの着用は、保温や保湿の効果もあります。
  4. 水分の補給
    • 発熱や下痢で水分不足(脱水)になりやすいので、十分な水分の補給が必要です。
  5. 禁煙
    • 喫煙は、咳、痰、のどの痛みなどの症状を増悪させます。
  6. 咳エチケット
    • 咳やくしゃみを手でおさえると、その手で触ったドアノブなど周囲のものにウイルスが付着し、他の人に病気をうつす可能性があります。咳・くしゃみをするときは、マスクやティッシュ・ハンカチなどを使って口や鼻をおさえましょう。

<参考>
厚生労働省 「抗微生物薬適正使用の手引き 第二版」

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