糖尿病に限らず、生活習慣病といわれる病気の多くは、外来に定期的に受診をして薬を調整していく必要があります。しかし、しばらくすると外来に来る回数が減理、やがて来なくなる患者さんがいます。もちろん、他の医者に診てもらっているのなら、それでいいのですが。
国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センターの「糖尿病受診中断対策マニュアル (2014)」によると、糖尿病患者さんの受診中断率は年8%程度と推定されています。
実に、年に1割弱の患者さんが外来に来なくなっているのです。受診中断は男性で仕事を持っている人に多い傾向があります。
高齢者に比べ、若年者(50歳未満、とくに20−30歳代で)受診中断が多く、血糖コントロールの悪い人(HbA1c値が8%以上)、またはかなりよい人にも多い傾向があります。
また、過去に受診中断した人の受診中断率が高くなります。一度、外来に来なくなった人がもう一度診察に通うようになっても、ドロップアウトする確率が高いのです。
受診中断の理由は、
- 治療の優先度の理解不足、「忙しいから行かない」
- 疾患への認識不足、「体調が良いからもう行かない」
- 医療費が経済的に負担になる
などがあげられます。
しばらく外来で見かけなくなった患者さんが、久しぶりに外来にやってきたら、ひどく病気のコントロールが悪化していることをよく経験します。薬を始める前より悪くなっているケースもあります。最悪の場合、治療が困難な状態まで悪化していることもあります。
外来受診を中断してドロップアウトするという事態を避けることも、医者の重要なスキルの一つだと思っています。
診察に来るのが大変な時は、そう話してください。薬代が高くて負担になる時は、そう話してください。その対策を考えましょう。
外来に来るのが億劫になって中断した時は、時間をみつけて、また診察にいきましょう。何が、自分にとって一番得になるのかをよく考えてください。少なくとも、私は怒りませんから。
諦めずに、もう一度よく来て下さいました。
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