肥満症とは、肥満によって健康障害をおこしているか、その可能性が高く、医学的に減量を必要とする状態をいいます。
肥満症がおこす健康障害
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 心筋梗塞・狭心症
- 脳梗塞
- 脂肪肝
- 月経異常・不妊
- 睡眠時無呼吸症候群
- 変形性関節症(膝・股関節)、変形性脊椎症、手指の変形性関節症
- 肥満関連腎臓病
肥満を判定するために、BMI(ボディマス・インデックス)という指標が使われます。
BMI(ボディマス・インデックス)= 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
たとえば、身長171cm、体重65kgの場合:
BMI=65÷1.71÷1.71=22.2
BMI 25以上は肥満です。肥満によって健康障害が起きている場合を「肥満症」といい、減量が必要な病気です。
- 肥満症はBMI 25以上で、肥満によって健康障害がおき減量が必要な方
- 内臓脂肪の蓄積(ウエスト周囲長、腹部CT検査)は高リスク肥満
- 内臓脂肪の蓄積は正確にはCT検査で計測しますが、簡単にはウエストのサイズで推測することができます。ウエスト周囲の長さが、男性で85cm以上、女性で90cm以上の人は、内臓脂肪がたまっている可能性が高いと考えられます。
<BMIと肥満の重症度>
BMI | 判定 |
18.5未満 | 低体重 |
18.5以上25未満 | 普通体重 |
25以上30未満 | 肥満1度 |
30以上35未満 | 肥満2度 |
35以上40未満 | 肥満3度(高度肥満) |
40以上 | 肥満4度(高度肥満) |
BMI 35以上は高度肥満(重症肥満、病的肥満)です。
高度肥満で注意すべき合併症
- 睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)
- 心不全
- 腎臓病
- 皮膚疾患
- 運動器疾患(変形性関節症、腰痛症)
- 精神的疾患
サルコペニア肥満
サルコペニアは、加齢に伴う骨格筋量の減少のこと。サルコペニアに肥満が合併したサルコペニア肥満は、心筋梗塞などの心血管系の病気をおこしやすく、死亡率が高くなります。
肥満の原因
- 食べすぎ(エネルギー摂取量が多い)
- 糖質が多い、タンパク質が少ない
- 早食い
- 運動不足
- 睡眠時間が短い
- 喫煙
- ストレス、労働時間が長い
肥満の健康被害への影響
- 高血圧(体重が1kg減ると、血圧は1mmHg低下するといわれます)
- 脂質異常症
- 糖尿病
治療
食事療法が基本です。食事量を減らして、体重を減らします。まず、3−6ヶ月で3%程度の減量を目指します。運動療法を組み合わせることで、減量の効果が上がり、リバウンドの予防になるます。
高度肥満では、さらに厳しい目標の設定が必要になり、薬物や外科治療が選択されることもあります。
<参考>
肥満症診療ガイドライン 2016. 日本肥満学会編
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