脳血管障害とは
脳の血管がつまったり、血管が破れて出血することによって、脳の組織が障害をうける病気を総称して、脳血管障害といいます。脳卒中は、脳血管障害と同じ意味で使われます。卒中はもともと突然倒れるという意味ですが、脳血管障害によっておきる病気を総称して脳卒中とよんでいます。
脳血管障害は、2011年以降、日本人の死亡原因の第3位から4位に後退しましたが、依然として重い後遺症を残す病気としては第1位を続けています。
脳血管障害が起きやすくなる危険因子には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、飲酒、肥満、ストレスなどがあります。
脳血管障害には
- 脳の血管がつまる「脳梗塞」
- 脳の中の血管が破れる「脳出血」
- 脳の表面を流れる血管のこぶ(動脈瘤)が破れる「くも膜下出血」
があります。
脳梗塞は脳の血管のつまり方によって、次の3つにわかれます。
・ アテローム血栓性梗塞 = 脳の太い血管の壁にコレステロールがたまり、そこに血のかたまり(血栓)ができてつまる。
・ ラクナ梗塞 = 脳の細い血管が高血圧などによって動脈硬化をおこしてつまる。
・ 心原性脳塞栓 = 心臓にできた血栓が不整脈などによって流れ出して、脳の血管につまる。
症状
手足を動かす、話す、見るなどの脳の機能は、脳の中でそれぞれ決まった場所にまとめられています。脳の一部に血液が流れなくなると、脳の機能が低下して、いろいろな神経症状があらわれます。
- 手や足に力が入らない、麻痺がある
- 言葉がしゃべりにくい、ろれつが回らない
- 頭痛
- 悪心・嘔吐
- めまい
- 痙攣
治療
発作が起きてからできるだけ早く治療を行い、血液の流れを改善する必要があります。
- 急性期(発作から2~3週間以内)
- 病気の状態に応じて、血液の固まりを溶かす薬、血液の流れをよくする薬、脳を保護する薬、脳のむくみを抑える薬などを使います。発症後すぐの治療には、血栓溶解療法や血管内治療も行われています。
- 後遺症を少しでも減らすために、早い段階から体を動かす訓練(リハビリテーション)を開始します。
- 慢性期
- 再発を予防するための治療を行います。
- 血液をさらさらにして血の固まりができるのを抑える、アスピリンやワーファリン、DOACと総称する抗凝固薬が、脳梗塞の再発予防に使われます。
- リハビリテーションが可能な病院で、歩行や身の回りの動作を行えるようにする訓練を行います。退院してからも施設や自宅で引き続きリハビリを続けます。
予防
再発を予防するためには、脳卒中の危険因子を治療する必要があります。
- 高血圧:脳血管障害の最大の危険因子は、高血圧です。血圧が高いほど脳血管障害がおきやすくなり、高血圧の治療によって脳血管障害のリスクは明らかに低下します。
- 糖尿病: 糖尿病は脳梗塞の発症を2−4倍に増加させます。糖尿病患者の脳梗塞再発率は、糖尿病のない方の2倍です。
- 脂質異常症:脂質異常症と関連が強いアテローム血栓性脳梗塞が増加しているため、積極的な治療が必要です。
- 喫煙:喫煙は、血液をドロドロにして血管をつまりやすくします。
- 心房細動:心房細動による脳血管障害は最も重症化しやすいタイプです。
- アルコールの多飲:とくに高血圧の人は、日本酒にして1合/日以内にしましょう。
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