胆石・胆嚢炎

胆汁の成分が濃縮し固まると、胆嚢や胆管に胆石をつくります。日本人のおよそ1割の方が、胆石をもっています。

胆嚢は、肝臓で作られる胆汁という消化液を一時的に蓄えて、食事が入ると、十二指腸に胆汁を排出します。胆汁は絶えず作られ、胆嚢からは胆管を通して、十二指腸に流れていきます。

胆石で、胆嚢から十二指腸までの流れがつまってしまうと、胆嚢に胆汁がどんどんたまって、胆嚢が腫れてしまい、「胆石発作」といわれる強い痛みが起こります。

典型的な胆石発作は、食後や夜間、右の肋骨の下の方からみぞうちにかけて、きりきりと刺すような痛みが、30分から2時間ほど続きます。背中や右の肩へ痛みが広がったり、吐き気を伴うこともあります。

胆石ができやすい方のリスクファクターは、「5F」といわれます。

  • Forty(年齢)
  • Female(女性)
  • Fatty(肥満)
  • Fecund・Fertile(多産・経産婦)

胆石を持っている方は、毎年2%が軽い症状、1.3%が中等度、0.2%が重い症状を訴えるといわれます。重い症状のなかで、最も多いのが急性胆嚢炎です。

胆石をもっていても、90%以上の方が無症状のままで過ごしていますので、胆石があるからといって予防的に胆嚢摘出をする必要はありません。

急性胆嚢炎は、胆嚢内にある石が、胆嚢から胆汁が流れ出す管(胆嚢管)を閉塞することで起こります。最初は痛みだけですが、次第に胆嚢が腫れ、胆嚢壁が厚くなり、周囲に炎症が広がっていきます。さらに、細菌感染が加わると、胆嚢の壁に穴があき、腹腔内に細菌が広がって腹膜炎を起こすことがあります。

症状

胆石発作による痛みは、みぞうちから右の脇腹にかけての痛みで、食後に痛むことが多く、とくに脂肪分の多い食事で起きることが多い。

検査

胆石の診断には、腹部エコー検査が簡便でかつ有用な検査です。さらに詳しい検査としては、CT、MRI(MRCP)、内視鏡検査(ERCP、EUS)があります。

治療

胆石の治療の基本となるのは、腹腔鏡下胆嚢摘出術です。体への負担が少なく、入院期間も短いため、第一選択となっています。

レントゲンに写らないコレステロールが主成分の胆石には、ウルソデオキシコール酸の内服による溶解療法や、体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)が試みられることがありますが、完全に石を除去しにくいことや再発率が高く、胆嚢摘出術の方が一般的です。


胆石は手術が必要ですか

胆石は、胆嚢の中にできる胆嚢結石が8割、胆のうから十二指腸につながる総胆管にできる総胆管結石が2割で、総胆管結石の2/3が胆のう結石を合併しています。

胆嚢結石

無症状の胆嚢結石は、健診の腹部エコー検査などで偶然にみつかることがほとんどです。痛みなどの症状がなければ、年に1回程度のエコー検査を受けるだけで十分です。すぐに、手術が必要になることはありません。

ただし、胆嚢の壁が肥厚していたり、陶器のように固くなっている場合などは、発がんのリスクが高くなることがあるので、胆嚢摘出が必要になり場合がます。

石の成分がコレステロール主体で胆のう機能が残っていれば、薬で溶かす方法や衝撃波で破砕する方法もあります。しかし、適応のある患者は限られます。

右脇腹からみぞうちにかけて刺すような痛み(胆石発作)を繰り返す場合や、胆嚢炎を合併したときは、治療が必要です。

治療は、腹腔鏡下胆のう摘出術という手術が基本です。お腹のなかにカメラを入れて行う手術ですから、開腹手術に比べて、格段に侵襲が少なく、傷跡も小さいし、回復も早いのが特徴です。

総胆管結石

症状がなくても治療する必要があります。総胆管結石が総胆管を閉塞した場合、重症の感染症を起こし、致命的になる危険があるからです。

症状がない場合は、内視鏡で十二指腸側から総胆管結石を取り出す方法が一般的ですが、胆嚢結石があるときは胆嚢摘出も行う必要があります。胆嚢結石が、総胆管結石の原因にもなるからです。

石が総胆管を閉塞してしまったときは、まず、胆汁をチューブを使って体外に排出するドレナージなどの緊急処置が必要になります。

胆石そのものは、良性の疾患ですが、できている場所、症状、合併症によっては、すぐに処置が必要なこともあります。

胆石は、毎年50万人の新規症例がみつかるほどよくみかけますが、胆嚢や胆管に細菌感染を起こすと、きわめて重症化することがあり、緊急手術が必要になることもあります。痛みや発熱など、症状があるときは、すぐに医師の診察を受けてください。

<参考>
胆石症診療ガイドライン2016 日本消化器病学会編
急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018 急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン改訂出版委員会

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