先日、高血圧の患者さんの胸部レントゲン写真を撮ったら、心臓が少し大きくなっていました。その患者さんから、「なぜ血圧が高くなると、心臓が大きくなるのですか?」という質問を受けました。
心臓は血液に圧力(血圧)をかけて血管の中へ送り込んでいく、ポンプの役割をしています。ポンプの出口は動脈という血管で、血管には血液の流れに逆らう力、つまり抵抗があります。抵抗が低いほど、血液は流れやすくなり、低い血圧でも全身に効果的に血液を送ることができます。
動脈硬化で血管の抵抗が大きくなると、心臓は血圧を上げて強い力で血液を送り出すことが必要になります。心臓の筋肉は、この力を作り出すために大きくなります。これを心肥大(しんひだい)といいます。人間の体が高血圧に適応した結果、心肥大になるのです。
この状態が長期間続くと、やがて心臓が適応できなくなり、心臓の動きが弱くなってポンプの役割を果たせなくなります。これが心不全です。
心肥大は、心臓の健康が失われつつあるサインです。心臓超音波検査(心エコー)を行い、心臓の動きや心肥大の程度を判定する必要があります。血圧の薬には、心臓の肥大を抑える効果もありますから、心不全への進行を防ぐためにも、薬は勝手に中断せずに、継続して内服する必要があります。
コメントを残す