デング熱は、蚊に刺されて起きる感染症です。
感染経路
患者の血液を吸った蚊(ヒトスジシマカ)の中でウイルスが増殖し、その蚊が別の人の血を吸うことで、ウイルスが感染します。ヒトからヒトへ直接感染はしません。
おもに、熱帯、亜熱帯、とくに東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国で流行する病気です。日本では、流行地で感染し国内に持ち込まれるケースがほとんどです。
日本では、1940年代以降、国内での感染はありませんでしたが、2014年8月、都内で感染した患者が確認され、2019年にも国内で感染した患者が報告されました。
症状
- 3-7日の潜伏期間の後、
- 突然の高熱、頭痛、眼の奥の痛み、顔面紅潮、結膜充血に続いて、
- 全身の筋肉痛、関節痛、倦怠感が現れます。
- 2−7日で解熱し、その後、胸、体から発疹が現れ、手足や顔面に広がります。
- 一般的に、症状は1週間程度で回復します。
- まれに、不安・興奮状態、発汗や四肢の冷感、血圧が低下し、ショック状態に陥る場合があります。鼻出血や消化管出血をしばしば合併します。
検査
- 血液からのウイルス分離
- PCR法によるウイルス遺伝子の検出
- 抗体の測定など
治療
- 有効な抗ウイルス薬はありませんので、症状に応じた治療を行います。
- ただし、出血傾向があるときは重症化する危険性があるので、入院治療が必要な場合があります。
予防
現時点で、ワクチンはありません。
デング熱を感染させる蚊(ヒトスジシマカ)は、5月中旬から10月下旬まで活動します。ヒトスジシマカの幼虫は、例えば、ベランダにある植木鉢の受け皿や空き缶、ペットボトルに溜まった水、放置されたブルーシートや古タイヤに溜まった水などによく発生します。
人がよく刺されるのは、墓地、竹林の周辺、茂みのある公園や庭の木陰などとされています。こうした場所では、露出の少ない服を着たり、虫除けを使って、蚊に刺されないことが大事です。
デング熱の流行地へ旅行されるときは、長袖・長ズボンを着用し、虫除けスプレーを使用して、蚊に刺されないように注意してください。また、帰国時に体調不良があるときは空港等の検疫官に申し出てください。帰国後に医療機関を受診するときは、海外への渡航歴を話してください。
<参考>
厚生労働省「デング熱について」
国立感染症研究所「デング熱とは」「蚊媒介感染症の診療ガイドライン第5版」
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