ピロリ菌を除菌して胃癌を予防する

ピロリ

ピロリ菌も、最近はすっかり有名になったので、みなさんも耳にしたことはあると思います。正式には、ヘリコバクター・ピロリ菌といいます。ヘリコプターのようならせん状の形をしているので、名前の由来です。

ピロリ菌は、胃の粘膜に感染して、慢性胃炎を起こします。胃炎がすすむと、胃の粘膜が萎縮する「萎縮性胃炎」になり、そのうちの2-3%が、粘膜が深く掘れた胃潰瘍、十二指腸潰瘍になり、0.4%に胃癌ができるといわれます。

国際がん研究機関(IARC)は、1994年に、「ヘリコバクター・ピロリ菌による慢性炎症が胃癌の原因になる」と発表しました。ピロリ菌感染によって、胃癌のリスクは20倍以上高くなるといわれています。ほかにも、ピロリ菌が胃癌の原因になる、はっきりとした証拠がたくさん報告されています。

ピロリ菌がどのように感染するのかは、まだ、はっきりわかっていません。ただ、感染は主に5歳までの小児期に起きているので、小児期の衛生状態で感染率が変わってきます。

水道やトイレの整備などがすすんで、ピロリ菌の感染率は下がっています。20年前には、50歳以上のピロリ菌感染率は80%以上でしたが、最近では50%以下になりました。

ピロリ菌の感染者が減少しているので、胃癌も減っています。つまり、ピロリ菌を退治すれば、胃癌になりにくくなります。胃癌の予防になるのです。

ピロリ菌を抗菌薬で退治することを、除菌といいます。ピロリ菌の除菌は、早いほど、若いほど、効果的です。いったん、萎縮性胃炎が起きてしまうと、除菌による胃癌の予防効果が落ちてしまいます。40歳代までには、除菌したいものです。

胃炎があり、ピロリ菌の感染があれば、保険で、除菌できるようになりました。薬を1週間飲むだけです。ただし、胃炎を確認するには、胃内視鏡検査(胃カメラ)が必要です。

ピロリ菌感染があり、胃炎の診断がついた方は、ぜひ、除菌をしてください。胃癌のリスクは、確実に少なくなります。

ただし、すでにできてしまった胃炎から、胃癌がおきることはあるので、定期的な胃の検査を省くことはできません。

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