アメリカ在住の友人(もちろん、日本人の方です)から、こんなメールをもらいました。
「妻が胆石の手術を昨年して、入院せずに済んだのですが、費用は17,000ドルでした、保険があるので、手出しは1,600ドルでした。もし一日入院したら、おそらく最低5,000ドルはチャージされたと思います。保険がないと、アウトです。老後をどうするか、それが大問題です。」
後日のメールで、彼の奥さんは、条件の良い保険に入っていたから、この程度の負担で済んだそうで、多くの場合は、3,000ドルを超える負担になるそうです。17,000ドルというと、およそ200万円。
ちなみに、日本では、内視鏡で胆嚢を切除する、腹腔鏡下胆嚢摘出術が21,500点。1点が10円ですから、21万5000円になります。諸費用を入れても、アメリカの5分の1ほどの値段です。さらに、アメリカでは入院の費用が高いので、入院すれば、その差はますます開いていきます。
私も、アメリカで2年半ほど暮らしたことがありますが、そのとき、一番心配だったのは、病気になることでした。
保険の整備された日本では想像もつかないことですが、アメリカでは保険料が高く、入る保険のランクによって、受ける治療に制限があります。しかも、自己負担が高いので、金がなければ治療が受けられません。治療費を稼ぐために働かざるを得ない高齢者が、たくさんいます。
留学当時、三十台だった私でも、この国(アメリカ)に長くは住めないな、と思いました。医者の僕が、何より、病気になることが心配だったのです。
アメリカに比べて、日本の医療は、安くて、手厚い制度で、うらやましく見えることでしょう。
安心して老後を過ごすためには、何より、安心して医療が受けられる社会であることが大事です。しかし、日本の財政状況をみれば、今後、医療費を削減する圧力はますます強くなり、老後への不安は高まります。
アメリカに住んでいる先輩、その方は50歳前にソニーを早期退職、アメリカ人の奥さんと結婚されて我が家の近所に住んでましたが、数年前にアリゾナに引っ越されました。今も元気にされてます。アメリカで年金をもらうため、あと1年ほど働かねばならないようですが、日々ゴルフをされて悠々自適です。その方もおしゃってましたが、例えば老後、アメリカに移住しようと思う日本人が結構いるが、みんな高額の保険のことを忘れている、と。その先輩は、奥さんの分とで、月に14万円ほど保険料を払っていたと思います。もう3年以上まえに聞いた額ですが。奥さんも先輩もともに子供がおらず、蓄えが十分あるからできるのでしょう。普通の人には無理ですね。さて、どうしたものか・・・。
HIROさん、コメントありがとうございます。
アメリカだと、確定拠出型年金でしょうか。
運用がうまくいっているのでしょう。
日本の医療保険は、高額医療の助成があり、負担の上限も決まっています。
SICKOという、マイケル・ムーア監督の医療ドキュメンタリー映画がありましたが、
アメリカの医療負担は、日本人の想像を超えたものがあります。
アメリカの文化は素晴らしいと思いますが、医療保障は日本の方が間違いなく安心できます。
今の日本の制度にも問題はありますが、大事にしたいところはたくさんあるのだということも、
医知場から発信したいメッセージのひとつです。