感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌、寄生虫が原因となって胃や腸が炎症をおこす病気です。病原体によって症状は違いますが、発熱、下痢、腹痛、嘔吐などが組み合わさって現れます。病原体で汚染された食品によっておきる胃腸炎は食中毒ともいい、集団発生することがあります。
急におなかをこわして、医者から「おなかのかぜ」といわれた人がたくさんいると思います。英語でもstomach fluといいます。stomachは胃で、fluはインフルエンザのフル。ただし、これはあくまでも俗な言い方で、正確には「感染性胃腸炎」です。
症状
- 発熱
- 下痢(水のような便、血のまじった便になることがあります)
- 腹痛
- 吐き気・嘔吐
検査
細菌による胃腸炎では、白血球数、血沈、CRPの増加がみられます。病原体の確定診断には、便検査を行い、細菌培養、ウイルス分離、顕微鏡による検査、抗原検出などを行います。
- 病原体
細菌 | 腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクターなど |
ウイルス | ロタウイルス、ノロウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルスなど |
寄生虫 | クリプトスポリジウム、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫など |
この中で特に発生頻度が高いのは、カンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオ、ロタウイルスです。
- 腸炎ビブリオは、夏に集中的に発生し、刺すような腹痛、血便がみられます。
- ロタウイルスは、冬に乳幼児によくみられる下痢の原因です。
- ノロウイルスは、秋から春にかけて全国的に流行します。
感染性胃腸炎は、例年、初冬から増加し始め、12月頃に一度ピークができた後、春にもう一度山ができ、初夏まで続いて減少していくという流行パターンがあります。
感染経路
食品、水を介して経口感染、またはヒトやペットからの接触感染もあります。
潜伏期間
病原体によって違いがあります。
- 腸炎ビブリオ:6-12時間
- サルモネラ:12-36時間
- 大腸菌:12-72時間(腸管出血性大腸菌は2-14日、平均3-5日)
- カンピロバクター:2-11日
- ロタウイルス:1-3日
治療
水分を十分に補給してください。嘔吐や下痢がひどいときは、点滴による水分の補給が必要になることがあります。 通常は、短期間で自然に回復しますが、特定の細菌が原因の胃腸炎では、抗菌薬の投与が必要なことがあります。
以下のような方は、早めに医者の診察を受けてください。
- 38℃以上の発熱、
- 1日に10回以上の下痢
- 便に血が混じっている
- 強い腹痛や嘔吐
- 小児や高齢者
- 外国旅行から帰ってきたばかりの人
予防
トイレで知らないうちに、感染した人の便に触れることで広がります。排便後は石けんと水でていねいに手洗いをすることが、最も効果的な予防法です。
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