薬の効かない怖い菌、薬剤耐性

耐性菌

細菌を殺したり、増えるのを抑えて感染症を治す薬を、「抗菌薬」といいます。抗生剤、抗生物質という言葉も使いますよね。

ペニシリンは青カビから発見されたものですが、こうした微生物が作ったものを「抗生物質」といいます。

現在では完全に人工的に合成された薬も多いので、「抗菌薬」というのが正確な呼び方になりますが、もちろん、患者さんが抗生物質とか抗生剤と言う分には支障はありません。

抗菌薬を漫然と使い続けると、細菌は薬の効かない「耐性菌」に変化します。

抗菌薬が効かなくなることを「薬剤耐性(AMR : Antimicrobial resistance)」といい、世界的な問題になっています。

人も物も国境を超えて移動する時代に、どこかの国で強力な耐性菌が流行すると、世界中に広がる危険があります。もちろん、日本が発信源になる可能性もあるのです。

現在、国を挙げて、「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が進行しており、2020年に一定の成果を上げるべく取り組みが始まっています。

耐性菌が増えると、感染症の治療が難しくなり、死亡する可能性も高くなります。とくに、免疫力の弱い高齢者や乳幼児が危険にされされることになります。

同じ抗菌薬をだらだらと長期に使ったり、十分な量を使わずに中断したりすると、薬剤耐性が起きやすくなります。抗菌薬は、医師や薬剤師の指示を守って、自己中断したり、自分で量を調整したりするのは止めましょう。

耐性菌の予防には、手洗いや消毒、マスクの着用などが必要なことがありますので、耐性菌の患者さんに見舞い等に行かれる場合は、看護スタッフにご相談ください。

<参考>
厚生労働省「薬剤耐性(AMR)対策について」

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