医者の情熱と患者の理解、Clinical Inertia (臨床的惰性)

Clinical Inertiaとは、「治療目標が達成されていないのに、治療が適切に強化されていない状態」のことです。

Clinical Inertiaは、「臨床的な惰性」と訳されます。

Clinical=臨床の
Inertia=怠惰、ものぐさ、惰性
という意味です。

糖尿病の治療でいえば、
・インスリンの注射が必要なのに、患者さんに受け入れてもらえずに、そのままの治療を続ける
・食事や運動だけでは不十分で薬を飲む必要があるのに、患者さんから内服薬を拒否されて、そのまま経過をみている
といったケースがあてはまります。

「臨床的な惰性」という言葉は、医療者側に責任があるというニュアンスがあります。本来は、次の段階へと治療をすすめなければならないのに、そうできないのは、医者の情熱不足ではないかと思えます。

しかし、患者さんが治療を受け入れないのは、新しい治療に対する漠然とした不安や抵抗、薬剤費が増える経済的な負担など、患者さん側に解決しなければならない問題が潜んでいることも多いのです。

そのためには、医者と患者が腰をすえて話し合うことが必要だと思いますが、限られた診察時間ではとても解決できず、結局、結論を先延ばしにしてしまうこともあります。

私は、治療法の変更を提案するときには、治療方針のゴールを決めて、患者さんに「待つ時間」を与えるようにしています。

たとえば、「3ヶ月後に、この目標値にならないときは、次はこのような薬を使いましょう。」といった提案をし、期限を決めるようにしています。

それでも、なかなか、受けいれ入れてもらえない場合もあります。

情熱だけでは解決できない問題を、どう理解してもらうか。簡単には答えが見つかりません。

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