医者はカルテをどのように書いているか

カルテ

医師が診療の内容を記録したものを「カルテ」といいます。正式には「診療録」です。最近では、パソコンを使った電子カルテを採用する医療機関が大半になっています。カルテには、医師だけでなく、看護師やリハビリスタッフなども記録していくことが多く、患者さんの診断、治療の歴史がわかる、大事な記録帳です。

カルテの書き方には決まりがあります。カルテの記載は一般的にSOAP形式で行います。

  • S (subjective) =主観的情報
  • O (object) =客観的情報
  • A (assessment) =評価
  • P (plan) =計画

Sの主観的情報とは、患者さんが話す自覚症状です。「咳や痰がでる」、「息が苦しい」、「お腹が痛い」など、患者さんの訴えを(S)に記録します。

Oの客観的情報とは、患者さんの診察や検査結果の内容です。聴診器で肺や心臓の音を聞く聴診、お腹や手足などに触れる触診などの診察の結果や、採血、レントゲン、心電図などの検査結果を(O)に記録します。

Aの評価とは、症状や診察所見、検査所見などから患者さんの状態を判断した結果です。たとえば、糖尿病が悪化して血糖値が上がっている、肺炎を起こして血液の酸素濃度が低下している、などの患者さんの病気の評価を(A)に記録します。

Pの計画とは、患者さんの症状や診察、検査結果の評価に基づいて、内服薬の調整や計画的に検査などを行います。「血圧の薬を少し増やしましょう」、「次回の診察のときに心電図をチェック」などの患者さんの治療計画を(P)に記録します。

カルテの記録には、さらに、治療内容、患者さんへの生活指導内容、患者さんやご家族に病状を説明した内容なども記載します。

  • たとえば、最近少し血圧が上がりぎみの55歳の男性患者さんのカルテを書いてみましょう。

(S)最近、自宅で血圧を測ると、上が150を超えることがある。ときどき頭が少し重い感じがする。

(O)血圧 150/90mmHg、脈拍 80/分
胸部:心音、呼吸音正常 四肢に浮腫なし
胸部レントゲン:心拡大軽度あり 心電図:軽度左室肥大

(A)血圧が少しずつ上がっている
胸部レントゲン、心電図で心肥大の進行が疑われる

(P)降圧剤を増量して1ヶ月後に再診
自宅での血圧測定を指導する
塩分制限、体重の増加に注意するように

といった記録ができあがります。

初めて診察をする初診の患者さんでは、これからの診療の基本になる情報を記録しておきます。

  • 主訴:自覚症状の記録です。「今日はどういう症状があって受診されましたか。どんなふうに調子が悪いのですか。」
  • 既往歴:これまでにかかった病気、過去の入院や手術、現在かかっている病気、治療中の病気、薬のアレルギーなどを記録します。
  • 家族歴:体質的におこりやすい病気をご家族がもっていないかを記録します。ご両親や兄弟に糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞、癌などの病気はないかなどです。
  • 生活歴:飲酒、喫煙、職業(とくに化学物質や粉塵に暴露されるような職歴)などを記録します。
  • 現病歴:病状の変化を時間を追って記録します。「その症状はいつ頃から始まって、どのようにすすんでいますか。症状に変化はありますか。」
  • 現症:目でみた変化(視診)、手で触ってわかる所見(触診)、聴診器で心臓や肺の音を聞く(聴診)、手足や関節の動き、体のむくみなどの診察所見を記録します。

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