長寿時代を生きる

敬老の日

敬老の日のニュースが、日本の65歳以上の高齢者が総人口の25%になったと伝えた。つまり、日本人の4人に1人が高齢者になったわけだ。

国土交通省のデータによれば、このペースでいくと、2030年には人口11522万人のうち65歳以上が31.8%、2050年には人口が1億人を切って9515万人になり65歳以上が39.6%、2100年には推計によって差があるが、人口4771万人のうち40.6%が高齢者になる。

日本の高齢化のスピードは世界でも圧倒的だが、2060年には、中国の高齢化率も30%に近い水準になり、世界の先進国はどこも高齢社会を迎えることになる。

高齢社会を簡単に解決するには、高齢者の定義を変えればいい。これが役人的な考えで、高齢者を70歳以上、75歳以上と切り上げていけば、高齢者の数はすぐに減ることになる。

年金の受給を遅くしたり、福祉の受け皿を減らして、年をとっても働かざるを得ないように仕向けられる社会は、定義上の高齢者を減らした、見せかけの若返りのように思える。

高齢者が当たり前の時代を生き抜く知恵は、健康な時間を伸ばし、地域のコミュニティのなかで助けあう社会をつくることだ。

厚生労働省の推計によれば、2035年には、65歳以上の高齢者が1人で暮らす独居老人世帯が762万世帯、全世帯の15.3%に達するとのことだ。男の5人に1人、女の10人に1人が結婚しない時代は、高齢の独身者が増え、独居の世帯が増えていくことになる。

1980年代に全世帯の4割以上を占めた「夫婦と子」のいる世帯は、2035年には23.3%まで減る。一方、単身世帯が37.2%まで増える。夫婦と子ども2人がマイホームで暮らす時代は、はるか遠くに過ぎ去った。現在の40代は正社員が少なく、非正規雇用が多い。彼らが65歳以上になる2035年には、年金がもらえない高齢者が、独居で暮らすことになる。

仕事柄、すでに、独居の高齢者がどんどん増えているのを、肌で感じる。病院に担ぎ込まれても、世話をしてくれる人がいない。退院させるにも、もう、ひとりでは家で暮らせない。こうした独居高齢者が、入院してくる機会が、年ごとに増えている。

介護者のいない独居の高齢者が、ひっそりとマンションの一室で暮らしている。彼らは、もはや老いているので、これからのことを自分で考える力はない。支えるはずの社会も、かなり疲弊している。

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