膵がん

肝胆膵

膵臓は胃の後ろにある、長さ20cmほどの細長い(明太子のような)臓器です。食物の消化や、血糖値の調節を行うホルモンを分泌しています。

早期発見の難しい膵がん

膵がんで死亡する患者は急速に増加しており、死亡数では肺、大腸、胃に次いで多く第4位で、死亡率の高い癌になっています。膵がんは早期発見が難しく、診断されたときにはすでに進行していることが多くみられます。

危険因子

  • 親に膵癌の方がいる(1.5-1.7倍)
  • 糖尿病(1.7-1.9倍)、肥満(1.3-1.4倍)
  • 喫煙(1.7-1.8倍)、大量飲酒(1.1-1.3倍)
  • 慢性膵炎(13.3-16.2倍)、膵嚢胞(3.0-22.5倍)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(年率0.2-3.0%)

診断

症状

  • 早期の膵がんに特徴的な症状はありませんが、腹痛や背部痛、黄疸を認めることがあります。
  • 糖尿病と合併することがあり、とくに糖尿病のコントロールが急に悪くなったときは、膵がんを疑って検査を行う必要があります。

検査

  • 膵がんが疑われるときは、腹部超音波(エコー)検査、造影剤を使ったCT検査を行います。
  • さらにMRI検査やPET-CT検査、内視鏡検査などを組み合わせて診断をすすめます。
  • 血液中の腫瘍マーカーには、CA19-9、CEA、Span-1、DUPAN-2、CA50などがありますが、早期例で異常値になることは少ないです。

治療

臨床病期(がんの進行段階)によって治療法が分かれます。

  1. Ⅰ期:がんが膵臓の中にとどまっている、リンパ節転移なし
  2. Ⅱ期:がんは膵臓の外に広がるが主要な血管への浸潤はない、またはリンパ節転移を認める
  3. Ⅲ期:がんが膵臓の外に広がり、主要な血管(腹腔動脈、上腸間膜動脈)に浸潤している
  4. Ⅳ期:膵臓から離れた臓器、たとえば骨、肺などに転移している
  • Ⅰ期は、手術の適応です。
  • Ⅱ期は、可能であれば手術を行います。
  • Ⅲ期は、放射線と化学療法の併用、または化学療法単独での治療を行います。
  • Ⅳ期は、全身状態の良い患者さんには、化学療法が勧められます。
Ⅰ期手術
Ⅱ期手術
Ⅲ期放射線+化学療法、または化学療法単独
Ⅳ期化学療法

治療内容

  1. 手術
    • 膵臓の頭部(十二指腸に近い側)にできたがんと、体尾部(十二指腸から遠い側)にできたがんで手術の方法が異なります。
    • 膵頭部がんでは、膵頭十二指腸切除が標準的です。この手術は、膵頭部のがんとともに、十二指腸、総胆管、胆嚢、胃の一部を切除するものです。
    • 膵体尾部がんでは、膵体尾部のがんと脾臓を切除します。
  2. 放射線化学療法
    • 放射線治療に、抗癌剤の投与を併用します。
  3. 化学療法
    • ゲムシタビン、S-1などを投与します。

<参考>
国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓がん」
日本膵臓学会「膵癌診療ガイドライン 2022年版」

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