たこつぼ型心筋症

たこつぼ

たこつぼ型心筋症は心臓の動きが急に悪くなり、心臓がたこつぼのように広がってしまい、心臓の働きが低下する病気です。たこつぼとは俗っぽいですが、正式な病名です。

心臓の血管(冠動脈)には異常がなく、家族の死や天災などの突然の激しい精神的・肉体的ストレスで、大量のノルアドレナリンが放出され、ホルモンのバランスがくずれることが原因と考えられています。

胸の痛みや呼吸困難を訴え、心電図の変化や、心筋由来の酵素が上昇したりするので、心筋梗塞との区別が難しいことがあります。

たこつぼ型心筋症の特徴をまとめると、

  • 女性に圧倒的に多い(男:女=1:9)
  • 身体的、精神的ストレスのあとに出現する
  • 心エコー検査での、心基部の全周性過収縮と、心尖~中部の全周性無収縮(いわゆる、たこつぼのような形にみえます。)
  • 胸痛を訴えているわりには重症感がない
  • 心電図は、一見、心筋梗塞の所見に似ているが、ST変化が冠動脈支配に一致しない。急性期をすぎると、QT延長を伴う巨大陰性T波を認める。心電図の変化は、数ヶ月続く。
  • トロポニンTは陽性の場合もあるが、CK-MB(クレアチンキナーゼMB)は上がってもわずかである
  • 心臓の機能は2週間ほどで回復することが多いのですが、重症では、心不全で死亡するケースもあります。
  • 特別な治療はなく、一般的な心不全治療が中心となります。

地震や洪水などの自然災害の直後に、被災地の女性に、たこつぼ型心筋症が多発しています。ストレスと関係の深い、女性に多い心筋症です。

<参考>
日本循環器学会/日本高血圧学会/日本心臓病学会合同ガイドライン「災害時循環器疾患の予防・管理に関するガイドライン2014年版」

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