パニック障害とは、強い不安の発作であるパニック発作を繰り返し、そのために「あの発作が起こったらどうしよう」と過度に心配となり、外出などが極端に制限されてしまう病気です。
パニック発作は、動悸、息苦しさ、めまいなどの多彩な身体症状を伴う強い不安の発作です。救急外来を受診する例も多いのですが、症状は数分から数十分でおさまり、検査をしても異常を認めません。発作を繰り返すうちに、発作の再発を恐れるようになり、逃げられない場所や助けが得られない場所をさけるために一人で外出できなくなることがあります。
パニック発作に似た症状は、不整脈、喘息、メニエル病、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症などの病気や、カフェイン中毒などの薬物の影響でもみられます。パニック発作と診断するには、身体的な原因がないことが条件です。
「パニック障害」は、一生のうちで数%の人がかかり、好発年齢は20~30歳代、女性が多いとされています(男性の約2倍)。
パニック障害の症状をまとめると
- 予期しない「パニック発作」
- また発作がおこるのではないかという「予期不安」
- パニック発作がおきたとき、そこから逃れられない、助けが得られないような場所を避ける「広場恐怖」
「パニック発作」は、以下のうち少なくとも4つ以上の症状が、原因やきっかけなしに、突然始まり、数分以内にピークに達するものです。
- 動悸
- 発汗
- 体のふるえ
- 息切れ感または息苦しさ
- 窒息感
- 胸痛または胸部の不快感
- 吐き気または腹部の不快感
- めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、気が遠くなる感じ
- 現実でない感じ、自分が自分でない感じ
- コントロールを失うのではないか、または気が変になるのではないかという恐怖
- 死ぬのではないかという恐怖
- 異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
- 冷感または熱感
治療は、薬物療法と精神療法に分けられます。薬物療法は、抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と抗不安薬のベンゾジアゼピン誘導体(BZD)が中心になります。精神療法は、認知・行動療法を患者さんにあわせて組み合わせます。
まずは、正しい診断を受けることが治療の第一歩です。できるだけ早く、精神科医に相談しましょう。ご家族も「こころの病気」であることを理解しましょう。
<参考>
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_panic.html
日本精神神経学会HP
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=43
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