横紋筋がダメージを受けて、筋細胞が壊れて溶け出してしまう病気を、「横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)」といいます。筋細胞にはミオグロビンというタンパク質も多く含まれ、筋細胞が壊れて大量のミオグロビンが血液中に流れ出すと、腎臓の尿細管という尿をつくる管を閉塞し、急激に腎機能が悪化することがあります。重症化した場合は、急性腎不全となり、人工透析が必要となることがあります。
筋肉には、手や足を動かすときに使われる「骨格筋」と、内臓にある「平滑筋」があります。骨格筋は、顕微鏡でみると縞模様の横紋があり、「横紋筋(おうもんきん)」という組織に分類されます。ちなみに、心臓も「心筋」という筋肉からできており、分類上は横紋筋になります。
最近は、独居の高齢者が何時間も身動きがとれなくなり、救急車で運び込まれたときには、クレアチンキナーゼが見たこともないほど高くなっているケースが増えています。長時間、体が動かせない状態に放置されると筋肉の破壊が起こり、命に関わることにもなります。
原因
- 事故や外傷で筋肉が直接壊れる
- 熱中症、脱水
- 薬物の副作用
- 脂質異常症薬(スタチン、フィブラート)
- 抗菌薬(ニューキノロン系)
- 抗精神病薬、抗パーキンソン病薬
- 麻酔薬、筋弛緩剤
症状
- 手足・肩・腰などの筋肉が痛む
- 手足がしびれる
- 手足に力が入らない
- こわばる
- 全身がだるい
- 尿の色が赤褐色になる
- 不整脈
検査
- 筋肉細胞に多いクレアチンキナーゼ(CKやCPKと略す)という酵素が異常高値
- ミオグロビン尿:血尿と見分けがつきにくい
- 高カリウム血症:不整脈の原因になる
治療
- 可能性がある医薬品はすぐに中止
- 輸液
- 利尿剤
- 腎不全が進行した場合は血液透析
はじめまして、夫が横紋筋融解症になりました。今は回復して施設にいます。横紋筋融解症になる前は自分で歩けたのですが今は車椅子です 施設では毎日30分くらい上半身運動(車椅子に乗ったまま運動)しています 入院前は2ヶ月から3ヶ月くらい意識がありませんでした 溶けてしまった筋肉は少しずつ戻るのか知りたいです
ご質問ありがとうございます。
横紋筋融解症は、外傷や感染症、薬剤など原因となって筋肉が破壊され、血液中に流れ出した筋肉の成分が腎臓などの臓器障害をおこす病気です。
入院期間も長くなると、活動性(ADL)が低下し、廃用症候群という衰弱した状態になってしまいます。
臓器障害の後遺症がなく筋力の低下だけなら、リハビリテーションで改善する可能性は十分にありますので、担当者と相談しながら、リハビリを継続しましょう。
ご主人の回復をお祈りしています。