憩室(けいしつ)は、腸の壁の一部が袋状にとびだしている状態です。
大腸を外から、お腹を開いた状態でみると、大腸に小さな風船のような袋がくっついているように見えます。大腸ファイバーで、腸の内側からみると、腸の壁の一部がへこんで見えます。
憩室は、年をとると誰にでも起こるもので、40歳を越えたあたりから、増えてきます。大腸に圧力が長年かかる結果、腸の壁の一部がとびだしてくるのです。
食事の欧米化によって、食物繊維の摂取量が減っているのも原因になっています。大腸憩室の保有率は、日本人では23.9%といわれています。2010年に大腸憩室炎で入院した患者は、10万人あたり92人でした。
60歳未満では右側の大腸憩室炎が多く、より高齢では左側の大腸憩室炎が多くなります。左側大腸憩室炎の方が合併症を伴いやすく重症化しやすいと報告されています。
憩室があっても、とくに症状がなければ、治療をする必要はありません。しかし、憩室に細菌の感染がおきると、憩室炎(けいしつえん)を起こし、腹痛や発熱、出血などの症状があらわれます。
大腸憩室炎は、腹部CT検査や超音波検査、採血検査で診断します。とくに、画像診断ではCT検査が有効です。
憩室炎は、腸を安静にするために絶食、抗生剤の投与などのために、入院治療が必要になることがあります。また、重症化して腸に穴があくと、腹膜炎をおこして、緊急に手術が必要です。
憩室があるからといって、必ず、憩室炎が起こるわけではありません。何も起こらずに、過ごしている方がほとんどです。
しかし、便秘を起こすと憩室炎が起こりやすくなりますから、普段から繊維質の多い食品と水分を十分にとり、便通のコントロールを行うことは大事なことです。また、喫煙、肥満が危険因子になると考えられています。
参考
大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン 日本消化管学会 2017.
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